真由美が玄関の前を掃除してると、ダチョウに乗った沙織が通りかかった。 「沙織ちゃ〜〜ん!」 「真由美ちゃ〜ん、お掃除?」 「そう。中国人の大学生が来るの。お母さんの脚を治しに。」 「え〜〜、ほんと〜!?」 「お父さんが、中国の有名なお医者さんで、日本につれてきて治してやるって。」 「よかったわね〜!」 「いつ来るの〜?」 「三時に来るって言ってたわ。」 「まだ早いわね〜。」 「あっ、そうだ!沙織ちゃん、芋煮パーティに行かない?」 「なあに、それ?」 「鎌田さんが、里芋が沢山あるから食べにおいでって、だから六時に食べに行くの。」 「わたしもいいの?」 「誰でもいいのよ。」 「鎌田さんって、天軸山公園の管理人さんでしょう?」 「そうよ。ああそうか、沙織ちゃんは高野山には今年来たから、食べたことないんだね。」 「うん、食べたこと無いわ。」 「じゃあ、鎌田さんのところに行って頼んでくるわ。」 「管理人さんのところまで行くの?」 「そうよ。」 「じゃあ、これに乗せてってあげるわ。」 「これに〜〜?」 「子供二人くらいは平気よ。」 「ダチョウさん、可哀想だわ。」 「だいじょうぶだって!」 ダチョウは、真由美の顔を見ていた。 「ダチョウの足は強いんだから。」 沙織は、席を空けた。 「ここに乗って。」 「ちょっと待って、お母さんに言ってくるから。」 「うん。」 すぐに真由美は戻って来た。そして静かに乗った。 「ダチョウさん、おねがいしま〜す。」 ダチョウは首を振っていた。 「まかせとき〜!って言ってるわ。」 「ほんと?」 「ほんとよ。わたし、ダチョウの気持ちが分かるの。」 「すごいなあ〜。」 出発しようとしたら、見知らぬ男がやってきて立ち止まった。 「いいなあ〜、ダチョウさんの車!」 子供たち二人は、「こんにちわ〜!」と挨拶した。 男は、 「ぼく、漫画家の水木しげる先生の弟子で、小峰といいます。まったね〜〜!」 と言って去って行った。二人は、きょとんとしていた。」 「真由美ちゃん、、あの人何かしら、知ってる人?」 「知らないわ。変な人。」カラスが飛んできて、男の頭にフンを落とした。 二人は叫んだ。 「あっ!」 男は、反射神経がよく、身軽だった。素早く横にステップして避けた。二人は驚いた。 「見た、真由美ちゃん!」 「あの人、まるで忍者隊月光みたいだわ〜!」 「なあに、それ?」 「知らないの?」 「知らない。」 「管理人さんのところに写真があるわ。」 「見たいわ。」 「じゃあ、これから見に行きましょう。」 「うん。」 二人は、管理人のいる家に向かった。
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