きょん姉さんとアニーは、空撮の映像を見ていた。アニーは、映像を止めた。 「結局、普通の景色でしたねえ。野菜工場らしきところも、お米と野菜だけだったし。」 「そうですねえ、普通の稲と野菜でしたねえ。」 「周りにも変なものはなかったし。」 「そうですねえ。」 「変なものがなくって良かったわ。」 「そうです、そうです。」 「わたしたちは、事件を探しに来たんじゃないんですから。ただの調査なんですから。」 「彼らは、平和な連中ですよ。」 「そうですね。これじゃあ、早く帰れるかも知れません。」 「えっ、そうなんですか?」 「はい。」 姉さんは、複雑な気持ちだった。 「真由美ちゃん、悲しむだろうな〜。」 「そうですね〜、仕方ありませんね。」 福之助は、壁に寄りかかって、自らに充電をしていた。 「福之助、まだ充電なの?」 「まだ完全に終わってなかったんです。」 「ああ、そう。」 「あと一時間で大丈夫です。」 「じゃあ、ゆっくりやんな。」 「はい。」 福之助は目を閉じ、動かなくなった。 ドアベルが、カランコロンと鳴った。 「誰だろう?」 「予定では、山田さんの配達は三時だから、まだ早いわね。」 「とにかく出てみます。」 姉さんはドアの前で答えた。 「どなたですか?」 「管理人の鎌田です。」 「鎌田さん?」 姉さんは、覗き窓を開けて確認した。本人だったので、ドアを開けた。鎌田が立っていた。 「何か?」 「実は、夕方の六時から、芋煮パーティをやろうと思いましてね。よろしかったら、参加しませんか?」 「えっ、わたしたちがですか?」 「はい、里芋を頂いたときには、いつもログハウスの方々を招いているんですよ。今年は、ここだけになってしまいましたけどね。後は、毎年手伝ってくれる伊集院さん兄妹たちと。」 「わ〜〜、どうしましょう?」 姉さんは喜んでいた。アニーの顔を見た。 「いいですよ。仕事は五時で終わりですから。わたしも喜んで参加させて頂きます。」 姉さんは、再び喜んだ。そして、鎌田に微笑で答えた。 「喜んで、参加させて頂きます!」 「じゃあ、六時きっかりに来て下さい。」 「管理人さんのところでいいんですね?」 「はい。」 「分かりました!」姉さんは頭を下げた。 鎌田は、静かにドアを閉め去って行った。 福之助が右目を開けて尋ねた。 「どうしたんですか?」 姉さんは、近くまで来て答えた。 「芋煮だよ、芋煮!芋煮がやって来たんだよ!」 「芋煮がやって来た?芋が歩いて来たんですか?」 「あほ!芋が歩いてやって来るか!また、留守番を頼むよ。」 「芋を食べに行くってことですか?」 「そうだよ。」 「どこまで?」 「管理人さんのところまでだよ。」 「まったく、食いしん坊だなあ〜〜、姉さんは。」 福之助は目を閉じた。 「芋煮か〜〜〜、どんなんだろうな〜?」 姉さんは、わくわくしていた。アニーは冷静に姉さんを見ていた。外では、ウサギのナカとヨシが、管理人の鎌田を追って跳ねていた。
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