「お姉ちゃん、ここは涼しくて気持ちいいね。」 「正男くんのいるところは、暑かったの?」 「うん、とっても!外は、とっても暑くて出られなかったの。」 「じゃあ、ず〜っと、家の中にいたんだ?」 「そう。」 「じゃあ、ここに来て良かったねえ。」 「うん!」 正男の左隣には、ポンポコリンが座り、右隣には忍が座っていた。 「正男、おいしいか?」 「うん!」 三人は、食堂で昼食を食べていた。 「お姉ちゃん、これ、なあに?」 「さ・と・い・も!里芋よ。」 「さといも。」 「そう!」 「これ美味しいね。」 正男は、初めては里芋を食べていた。 食堂の、みっちゃんが入って来た。 「あら、正男くんだ!こんにちわ〜!」 正男は元気よく挨拶した。 「こんにちわ〜〜!」 「お芋、美味しい?」 「さといも、美味しい〜!」 「あら、よく知ってるわね〜、里芋って?」 「ぼく、ちゃんと知ってるよ!」 ポンポコリンが、「今、教えたんです。」と言った。 「人間村の畑で、里芋がとれたんですよ。」 「じゃあ、沢山?」 「そうなんですよ。いつもは、十月ごろなんですけど、暑さのせいで収穫が少し早くなってしまって。どう料理しようかと悩んでるんですよ。里芋って、保存するのが難しいでしょう。」 「そんなにあるの?」 「はい。」 忍が提案した。 「テレビで見たんだけど、芋煮会というのは、どうだろう?」 「それ、いいわね〜〜!」 ポンポコリンが微笑んだ。 「芋煮会か〜〜、故郷の山形を思い出すな〜。」 忍ぶが尋ねた。 「へ〜〜、芋煮会って山形の名物なの?」 「名物かどうかは分かりませんけど、大切な秋の行事です。」 「何芋でやるの?」 「もちろん、里芋です。」 「芋煮会って、芋だけなの?」 「場所によって違いますけど、うちでは、豚肉やネギやコンニャクやニンジンや豆腐や椎茸などと一緒に煮ます、」 「大きな鍋で?」 「そうです。」 「お祭りでやるときには、鍋太郎という直径六メートルくらいの大きな鍋でやります。」 「それはいいなあ〜。」 みっちゃんがポンポコリンに言った。 「うちにも大きな鍋があるわ。うちでも、それやりましょか?詳しい作り方を教えてください。」 「詳しいっていうほどではありませんけど、教えられますよ。」 「じゃあ、お願いします!」 みっちゃんは頭を下げた。 「分かりました。」 正男は入口の方向を見ていた。 「なあに、あれ!?」 ダチョウが、小型のアルミのリアカーを引いて歩いていた。リアカーには、小さな少女が手綱を持って乗っていた。 ポンポコリンも見た。 「あっ、ダチョウ牧場のダチョウと沙織ちゃんだわ!」 みっちゃんや忍も見ていた。正男は、入口に駆け寄った。 「わ〜〜〜、大きい鳥だなあ〜!」 ポンポコリンがやってきた。 「ダチョウって言うのよ。」 「だちょう!」 「飛んでいかないの?」 「あの鳥は、飛べないの。」 「ふ〜〜〜ん。」 「後で見に行こうか?」 「だちょうを?」 「うん!たくさんいるのよ。」 「だちょうがたくさんいるの?」 「そう。お芋の畑も見に行こう!」 「わ〜〜〜、行こう行こう!」 正男は、飛び上がって喜んだ。
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