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作品名:高野山 人間村 作者:毬藻

第124回   空海の龍退治伝説
今日は、我々の祖先が地球に来て、二千五十年の記念すべき日である。ここ高野山は、我々の祖先が、最初に地球に降り立った記念すべき場所である。」
みんなは、黙って聞いていた。
「そして、憎っくき空海の摩訶不思議なる密教秘術と法力剣によって、われわれの龍神が退治され、我々が大台ケ原に追われた『オロロンの屈辱の日』を決して忘れるな!」
みんなは、「お〜〜!」と、歓声を上げた。
「昨夜の『オロロンへの祈りの儀式』は、無事に終了した。みんな、ありがとう!これより、大台ケ原に帰還する!」
みんなは、「お〜〜!」と、歓声を上げた。」
「邪悪貪欲の人類に死を!」
みんなは、「お〜〜!」と、歓声を上げた。」

「葛城さん!見て見て!彼らが棺桶を担いで出てきたわ!」
姉さんは、急いで窓から見た。
「帰るのかしら?」
視力のいい姉さんは、担がれた棺桶の中を見ていた。
「あのときは、よく見えなかったんだけど、棺桶の中には龍の絵が描いてあるわ。」
「なんだか、そうみたいですね。」
「ひょっとすると、彼らの神様かも知れませんね。」
「龍の神様…」
「昨夜の龍の玉伝説と関係あるのでは?」
「龍の玉伝説の前には、空海の龍退治伝説というのがあります。」
「空海の龍退治伝説?」
「なんでも、高野山には村人を苦しめる、黒い邪悪な龍が棲んでいて、それを、空海が密教の秘術で退治したというものです。その後、もともといた緑の龍が帰ってきて、空海の守り神になったとか。」
「それが、龍の玉?」
「はい。」
「邪悪な龍を神に祭っていた鬼たちは、大台ケ原に逃げたそうです。」
「それは面白い話しですねえ!」
「伝説とか神話とか好きなんですか?」
「はい、御伽噺とか伝説とか神話とか、大好きです。」
「不思議なものが好きなんですね?」
「はい!」
彼らは、銀色の宇宙艇のようなマイクロバスに乗り込むと、去って行った。
「まるで、空でも飛びそうな自動車ですねえ。」
「そういう感じですねえ。」
「どこに帰って行くんでしょうかねえ?」
「さ〜〜あ?」
「ひょっとしたら、大台ケ原に帰った行ったのでは?」
「それは面白い!」
「不思議な人たちでしたねえ。」
「そうですね〜。」
「この高野山も不思議だらけだけど、来る人も不思議な人たちばかりですねえ〜。」
「いちばん不思議なのは、葛城さんかな?」
「え〜〜〜〜?アニーさんこそ!」
「えっ、そうですか〜?」
二人は、顔を見合わせて笑った。福之助は手を休め、お地蔵さんのように黙って二人を見ていた。



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