きょん姉さんとアニーは、既に食事をしていた。ドアが開き福之助が帰ってきた。 「ただいま〜!」 姉さんが答えた。 「食べてるよ。とっても美味しいよ。」 「そうですか。ありがとうございます。」 「福ちゃん、美味しいわ。栗御飯、よく炊けてたわ。」 「そうですか、それは良かった!」 姉さんは、美味しそうに栗御飯を食べていた。 「踊りは、もう終わったのかい?」 「はい。もう終わりました。」 「どうだった?」 「姉さんの言った通り、びっくりしていました。大うけしました。」 「そうかい、やっぱりな!」 テレビが映っていた。姉さんたちは、珍しく娯楽番組を見ていた。 「姉さん珍しいですねえ。こんな低俗な番組を見るなんて。」 「あっ、そうだな。チャンネルを切り替えるのを忘れていたんだよ。」
『さ〜〜〜、今年の最高気温は、何度だったでしょ〜〜〜!?』
福之助は、チャンネルを変えようとした。姉さんは止めた。 「ちょっと待て!」 「えっ?」 「答えを見てから。」 「ああ、そうですか。」
『四十六度二分でした〜〜〜!続いて熱中症の死者は何人だったでしょ〜〜!?』
福之助は不愉快な顔になった。 「人の不幸を番組にするなんて、低俗な番組だなあ〜。」 福之助は、チャンネルを変えようとした。また姉さんは止めた。 「ちょっと待て!」 「こんなのを見るんですか?」 「この答えだけ。」
『一万十八人でした〜〜〜〜!』
姉さんは驚いた。 「え〜〜、そんなに!」
『両方当った方の中から、抽選で五人の方に、一人百万円を差し上げま〜〜す!』 『もし、五人に満たない場合には、五百万円を分けて差し上げま〜〜す!』
「福之助、もういいよ!」 福之助は、チャンネルを変えた。 「こんなので、お金を頂いて、良心が痛まないんでしょうかねえ?」 「ほんとだなあ。」 「まったく、最低の番組ですね!」 「こういう番組を見る人間がいるから、こういう番組が成り立っているんだよ。」 「こういうのを見るなんて、人間の屑です!」 「今日は、やけに厳しいねえ。」 「こんな人間のために働いていると思うと、情けなくって!」 アニーは、黙々と食べていた。姉さんは話題を変えた。 「あの連中、地球人だった?」 「地球人だったって、当たり前じゃないですか。」 「耳は尖ってなかった?」 「普通の耳でした。」 「小指は動いてた?」 「そこまでは見ませんでした。どうしてですか?」 「宇宙人は、小指が動かないんだよ。テレビのインベーダーという番組では。」 「な〜〜んだ、テレビの話しですか。宇宙人なんていませんよ。」 「そうかなあ?」 「そんなのがいたら大変ですよ。」 「ひょっとすると、いるかもよ。」 「そんな馬鹿な話しは止めてください。あっ、そうだ!デザートを作ります!」 「トマトのデザート?」 「そうです!とまとプリンです。」 「とまとプリン?それは楽しみだなあ〜。」 姉さんは、高野山放送に切り替えた。
『昨夜、十時十五分頃、天軸山上空に、緑色の光る物体が現れました。』 『これが、その映像です。』 『光る物体は、稲光と落雷音と共に消えたそうです。』
「葛城さん!昨日の落雷と、緑色の球体のことじゃない?」 「そうですねえ〜〜!」 アニーは考え込んだ。 「確か、緑色の球体の後に落雷でしたよねえ?」 「はい。」 「その球体の前が、彼らの棺桶運び?」 「はい。それが何か?何か関係が?」 アニーは深く考え込んだ。 「ひょっとしたら、深い関係があるのかも知れません…」
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