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作品名:高野山 人間村 作者:毬藻

第117回   望郷
「来年は、何度まで気温が上昇するか楽しみですな〜、隊長!」
「実に楽しみの極みだなあ〜。」
「何人死にますかねえ?」
「少なくとも、今年よりは多いはずだよ。」
「実に楽しみですなあ〜。利口人間が、食い止めなければいいんですけど。」
「地球人の世界は、民主主義だから大丈夫だよ。」
「どうしてですか?」
「大勢の馬鹿が決めるからだよ。それが民主主義っていうやつなんだよ。またの名を、衆愚政治って言うだろう。」
「な〜〜るほど!じゃあ大丈夫ですねえ。」
「そういうことだ。民主主義ってのは、一人の天才がいても、大勢の馬鹿で決まるんだよ。」
「安心しました。」
「大丈夫だよ。今更、地球人の科学で何が出来る?」
「そうでございます!」
「人間たちが、動けば動くほど、働けば働くほど、炭酸ガスは増えてくる。」
「やつら、動くのが好きですからなあ〜。」
「俺たちと違って、先祖が猿だからな。」
「そういうことですな。」
「これで俺たちも、胸を張ってアンドロメダの故郷に帰れるぞ!」
「はい!」
「もう少しの辛抱だ。長かったなあ〜、何千年もかかってしまったなあ〜。」
「はい!」
「来年は、何度まで行くかなあ?」
「さ〜〜?」
「後で。食事をしながら皆で賭けよう!」
「はい!」
ログハウスの外では、まだ踊りと歌が続いていた。

 第三世界が来るぜ〜〜 ♪ 春よ来い〜〜 ♪
 子供達もフラフラ〜 政治家もフラフラ〜 ♪ 右も左もフラフラ〜 ♪

「いい歌ですなあ〜、隊長。」
「ああ、実にいい歌と踊りだ。」
「あのロボット、何なんでしょうね?」
「何なんだろうな?」
「いきなり現れて踊りだしましたけど?」
「馬鹿ロボットか?」
「そうかも知れませんねえ?」
「そうだそうだ、馬鹿ロボットだ!見ろ、あの顔と踊り。」
「そうですねえ、どう見ても馬鹿顔してますねえ。」
「所詮、地球人のロボットだからな。この程度のものだ。」
「親が地球人ですからなあ。」
隊長は笑い出した。
「はっはっはっは!」
「隊長、馬鹿ロボットが踊りを止めて帰って行きます。」
「おっ、ほんとだ?どうしたんだ?」
「馬鹿のやることは分かりませんねえ?」
外の仲間たちは、そのロボットに手を振っていた。ロボットがいなくなると、彼らは再び元の奇妙な踊りを始めた。
「あのロボット、どこから来たんでしょうかねえ?」
「近くにいるんじゃないのか?」
「そうかも知れませんね。」
隊長は、窓の外の山々を見ていた。
「アンドロメダの故郷かあ…」
隊長は、山崎ハコの望郷を歌いだした。

 青い空 白い雲〜〜♪ かけまわり 蝶々とり遊んだ〜 故郷(ふるさと)〜 ♪

時は、恙無(つつがな)く前に流れていた。

 ドラゴンルーレットをやってみる 


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