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作品名:シュールミント 作者:毬藻

第93回   ハンプティ・ダンプティが怒った
スミレちゃんは、木の上のハンプティ・ダンプティに尋ねた。
「ハンプティ・ダンプティ、どこから来て、何しに来たの?」
「鏡の国から来たんだ。遊びに来たんだ。」
「わざわざ、こんなとこまで?」
「いいじゃないか、勝手だろう。」
「そうだけども…」
「文句あるのか?」
「ないよ〜だ!」
「お前の変な声が聞こえたんだ。」
「鏡の国から?」
「ああ、聞こえた。とっても変な声がな。」
「とっても変な声?」
「お前の、とてつもなく変な声がな。」
「失礼しちゃうわ!」
「俺様は偉いから、ごめんごめん!なんて絶対に謝らないからな〜。」
「あなたって、王様みたいに、いつも威張っているのね。」
「あたりまえだ。とにかく俺様は一番偉いのだ。」
「それだけで来たの?」
「そうだ。」
「ずいぶんと、暇なんですねえ〜。」
「とっても忙しいいくらいに暇なんだ。ははは!」
「どっちなんですか?」
「退屈だったから、彷徨える人間を見に来たんだ。」
「意地悪ねえ。」
「意地悪は心に楽しいぞ。」
変な会話が続いていた。が、けんけん姉さんは隠しながら笑っていた。それを発見したハンプティ・ダンプティは、風船のように顔を膨らませて怒り出した。
「お前、隠しながら笑うなんて失礼じゃないか!」
姉さんは、素直に謝った。
「ごめんなさい!」
「お前にも、名前はあるのか?」
スミレちゃんが怒って答えた。
「あるわよ〜、失礼ねえ!」
「何という名前だ?」
「けんけん姉さん。っていう素敵な名前よ。よく覚えておきなさい!」
「けんけんねえさん?とてつもなく変な名前だなあ〜?」
スミレちゃんは、大好きな姉さんのことを言われたので、思わず、むっと来た。
「あんたこそ、変な名前じゃない。ハンプティ・ダンプティなんて、ちゃんちゃら変だわ!」
「ちゃんちゃら変?変な言葉だなあ〜。どういう意味だ?」
「とっても変だわ。という意味よ。」
「俺様を馬鹿するとは、世界一とんでもない奴だ!」
「変な顔、変な格好!」
「俺さまの名前は、この形、とても格好がいいこの形を、よくも馬鹿にしたな!」
「ああそうですか。…卵おじさん!」
ハンプティ・ダンプティは、大きな目玉がなおさらに大きくなった。
「た・ま・ご、おじさん!?」
「足元に注意しないと、卵は落っこちたら割れちゃうわよ〜。」
ハンプティ・ダンプティは、大いに怒った。
「なんだとう!また、俺様のことを、卵と言ったな!」
木の上に立ち上がった。
「わぉ〜〜〜!」
ハンプティ・ダンプティは、木の上から落ちた。
みんなは、驚いて卵みたいなハンプティ・ダンプティに駆け寄った。

 ハンプティ・ダンプティ 塀の上に座ってた ハンプティ・ダンプティが落っこちた
 王さまのお馬と王さまのけらい みんなよっても ハンプティ・ダンプティを元に戻せなかった


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