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作品名:シュールミント 作者:毬藻

第72回   バターの作り方
スミレちゃんは、左右の手を、交互に押し出しながら、ダンスステップで帰ってきた。
「三歩進んで、二歩下がる♪三歩進んで、二歩下がる♪」
けんけん姉さんは、台所で何かをやっていた。」
「スミレちゃ〜ん。」
スミレちゃんは、ダンスを止めて答えた。
「は〜〜い!」
スミレちゃんは、台所にやってきた。
「バター作るの、手伝って。」
「は〜〜い。」
「そこの、生クリーム取って。」
「これ?」
「それは、ホイップクリーム。となりのやつ。」
「これね。」
「そうよ。」
「はい。」
姉さんは、氷水の入った大きなボールに、小さなボールを入れ、その中に市販の生クリームを注いだ。
「スミレちゃん、泡だて器を取って。」
「これね、はい。」
「ありがとう。」
姉さんは、泡だて器で生クリームを掻き混ぜはじめた。
「空気をクリームの中に取り入れるようにして、よく泡立てるのよ。」
「ふ〜〜ん。」
「フンワリしてきますが、それでもさらに掻き混ぜつづけます。」
「ふ〜〜ん。」
「だんだんモロモロになってきて、水がでてきます。」
「ふ〜〜ん。」
「白から、だんだん黄色っぽくなってきます。」
「ぅわ〜、ほんとだぁ。」
「さらにかき混ぜつづけていくと、急に水が増えます。」
「ぅわ〜、ほんとだぁ。」
「もう混ぜることができなくなり、脂肪の固まりと水とがはっきり分かれます。」
「ぅわ〜!」
「この黄色い固まりがバターです。」
「ぅわ〜!」
「できたバターを、冷たい水でさっと洗って、水を切ったバターを容器に入れ、塩を加えて混ぜます。」
「これで、できあがり。」
「スプーンの背などで押しかため、ラップなどで被(おお)い、冷蔵庫で冷やします。」
「ぅわ〜〜、もうできちゃったの。」
「簡単でしょう。」
「びっくりしちゃった。」
「次に作るときには、スミレちゃんも、やってみる?」
「わ〜、いいの〜?」
「いいわよ。」
「わ〜〜!」
姉さんは、目玉を寄せた。スミレちゃんは、驚いた。
「どうしたの?」
「…3(スリー)・2(ツー)・1(ワン)!」
「お〜〜、イェ〜!」
二人は、カラオケに向かって走り出した。
スミレちゃんは、カラオケのスイッチを入れた。姉さんが選曲すると、スミレちゃんが、マイクを握った。
「テンプの秘密の合言葉ね!お〜〜、イェ〜!」
「お姉さん、ステップは、こうよ。三歩進んで、二歩下がる♪」
「なに、それ?」
「サルサっていうの。」
「それ、サルサ?」
「知ってるの?」
「それ、変だよ。まるっきし、変!」
「そうかしら。」
「サルサは、こうやるの。」
「ぅわ〜〜、きゃっこいい〜!どひゃ〜〜!」
二人は、踊りだした。そして、歌いだした。

 3(スリー) ・ 2(ツー) ・ 1(ワン) お〜〜、いぇ〜 ♪ 
   ふたりがいつも逢うときぃは これが二人の〜 合言葉〜 ♪
     なにも言わずに なにも言わずに 黙っていても分かるのさ〜 ♪

楽しく、踊って歌っていると、高坂一平が入って来た。
「ぅわ〜〜、二人とも上手いなあ〜!」
姉さんは、踊るのを止めた。
「高坂さん、夏の四五度対策会議は終わったの。」
「終わりました。」
スミレちゃんも、踊るのを止めた。一平は、スミレちゃんに拍手をした。
「上手だねえ、スミレちゃん。」
「そうかしら?」
「高坂さんも踊りません?」
「お父さんに頼まれて、これから客寄せの、からくり人形を取りに行くんです。」
「ああ、そうなんですか。場所、分かりますか?」
「地図をもらいました。」
スミレちゃんは、目を輝かせていた。
「わたしも行きたいなあ。」
「行ってらっしゃいよ。スミレちゃん。」
「ひゃっほ〜〜ぉ!」
スミレちゃんは、不思議な妖精の昔歌を歌いだした。

 パンパン手拍子 からくり人形
   パンパン手拍子 からくり人情
     物人(ものびと)こぞりて  からくり人形 からくり人情



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