けんけん姉さんは、背の低い妖怪駄洒落坊主の後ろに立っていた。 「この強風で、青い鳥が飛べなくって震えてるわ。」 「ほんとうだ。」 「みんなで、お祈りをしましょう。」 一平が尋ねた。 「わたしもですか。」 「願えるならば。」 みんなは手を合わせ目を閉じ、一心に祈りを捧げた。 「これで大丈夫。」 青い鳥は、強風に向かって飛び立って行った。 「みなさん。今日は今日であるように、太陽に向かって祈りを捧げましょう。」
< は〜い >
みんなは、手を合わせ目を閉じ、いつもの祈りを捧げた。
今 この大地に すべては生きています 人も 妖怪も 死んで行った人も
一平が尋ねた。 「死んで行った人も、ですか?」 「はい、そうです。死んで行った人々は大地となって生きています。」 赤鬼が見得を切った。 「そのとおり〜!」 青鬼が体操を始めた。 「妖怪、朝のへんてこ体操」 妖怪たちは、それぞればらばらに体操を始めた。 へんてこな体操は、約一分で終わった。 若者はびっくりした。 「な〜んだ、それだけ?」 駄洒落坊主が微笑んで若者を見た。 「あんまり動くと、お腹が空きますので。」 「なるほどね。」 姉さんの顔は、いつもの爽やかな元気な顔になっていた。 「さあ、朝食にしましょう!」 駄洒落坊主が、姉さんの顔を覗き込んだ。 「わ〜、今日は、きっと豪華な朝食だあ〜。」 「なんでよ?」 「お客さんがいるから。」 「でも、あんたは喋りすぎだから、朝食抜き!」 「え〜〜、まぁじ〜!?」 「メタボだから、たまには、いいでしょう?」 「朝食なのに、超チョック!」 「まだ言ってる!ほんとに抜くわよ!」 「ごめんなさ〜〜〜い!」 寒風のなかを、箒(ほうき)に乗った北風の魔女が飛んでいた。
ふふふ 元気なのは 今だけ ふふふ 元気なのは 今だけ すべては あっと言う間に 朽(く)ちて終わる
「嫌なやつだなあ。」 「姉さん、破魔矢(はまや)を持ってきましょうか。」 「うん、持ってきて。脅してやるから。」 「はい。」 姉さんは、破魔矢を強く引き、魔女に向けて放った。 「破魔矢〜〜〜!」 破魔矢は、北風の魔女のそばをかすめていった。 北風の魔女は、箒(ほうき)から落ちそうになった。 「なにすんだよ〜、お京!」 姉さんが、挨拶代わりに睨みつけると、 「ばかやろう!」と言い残して、北風に舞い踊る枯葉と一緒に、どっかに飛んで行ってしまった。
ひゅるひゅる ひゅるひゅる 風の泣き声 ひゅるひゅる ひゅるひゅる 風の叫び声 北風の魔女は どこかに行った どろどろの悲しい悪口を残して 枯葉舞い散るなかを去って行った
妖怪たちは、 < ざまあみろ ざまあみろ >と言い合いながら、大きな拍手をしていた。
赤鬼と青鬼が、外に出て勝利の舞いを、大地に力強く足を踏み込みながら踊りだした。
ゥオ ♪ ゥオ ♪ ゥオ ♪ ゥオ ♪ ざまあみろ! ゥオ ♪ ゥオ ♪ ゥオ ♪ ゥオ ♪ ざまあみろ!
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