地球よ お前は今日で 何度目の朝を迎えたのか
いつものように、新しい朝はやってきた。 若者は、顔を洗い歯を磨くと、一階に下りてきた。 「お早うございます!」 みんなは、窓の外を見ながら、< おはよう! >と、言った。 その日は、朝から凄い風が吹いていた。 「すごい風ですねえ。」 「お父さん。この風止まないの?」 「なかなか、止みそうにないね。」 姉さんも、妖怪たちも、窓の近くで風を見ていた。 「きっと、風神が怒っているのよ。」 妖怪たちの目は、きょろきょろと雲の上の風神を探していた。
風神が 汚い空気を 吹き飛ばしにやってきた 風神が 腐った空気を 吹き飛ばしにやってきた
「あっ、風小僧だ!」 遠くの方で、風小僧が飛行機のように両手を広げて、風にのって飛んでいた。
風小僧は 風に乗るだけ 風小僧は 風のなかを泳ぐだけ 風小僧は 風と遊ぶだけ
「お父さん。風小僧は、どこに行くの?」 「風任せだね。」 妖怪たちは、手を叩いて喜んでいた。 若者は、姉さんに尋ねた。 「彼らは、どうして手を叩いているんですか?」 「それが、よく分からないのよねえ。いつもああやって、手を叩くの。」 「不思議ですね。」 「聞くと、怒るんだよね。」 「そうなんですか?」 お父さんが、 「きっと、彼らにしか、分からないことがあるんだよ。」と、言った。 妖怪たちは、無心に手を叩いていた。 風は、時折狂ったように、泣き叫んでいた。 姉さんが叫んだ。 「あっ、草笛だわ。風の中のあいつがやって来たわ!」 風の中を、渡世人風の旅人が力強い足取りで歩いていた。
眩しい風の中を あいつやって来るよ〜 草笛が聞こえてくる どこからともなく〜 ♪
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