『それでは!』 貧乏神は消えて薄茶色の小さな煙になり、若者の身体に入って行った。 若者の身体から、薄くて黒い煙みたいなものが出てきて、消えて無くなった。 風魔小太郎が、ブルース・リーのような鋭い奇声を発した。 「アチョ〜〜〜!」 薄茶色の煙が、若者から出てきて、貧乏神が現れた。 『出て行きましたぞ。小太郎殿、おみごと!』 「久しぶりの術でござった。」 貧乏神は、神妙に座っている若者の肩を叩いた。 『もう、大丈夫でござる。』 「ほんとうですか!?」 『ああ、どこかに行った。出たからには、もう絶対に入ってはこない。安心いたせ。』 お父さんが出てきて、若者に説明した。 「免疫みたいなもので、同じ神様は入ってはこないんだよ。」 「そうなんですか。良かった〜!」 けんけん姉さんが、喜んで出てきた。 「良かったねえ〜!これで妖怪も襲って来ないよ。」 「もう、襲っては来ないんですね!?」 「そうよ。ああいう妖怪は、あなたの中の死神が、死の匂いを発して呼び込んでいたの。」 「そうだったんですか。」 若者は、正座したままの姿勢で、貧乏神に深く頭を下げ、お礼を言った。 「どうもありがとうございました!」 それから、風魔小太郎のほうに身体を向け、同じように深く頭を下げ、お礼を言った。 「どうもありがとうございました!」 若者の目には、涙が溢れていた。 みんなは、
< よかった よかった > と、大きな温かい拍手をした。
「もう誰も、あなたを殺せないわ。」 「ああ、良かった!」 きょん姉さんの心に、勝利の戦旗がはためき、レベッカのフレンズが流れていた。 窓の外では、目標を失った、風の死の妖精とメラメラ黒べえが、ひがみ小僧と一緒に、自棄酒(やけざけ)を飲んでいた。 妖怪ひがみ小僧が、醜くくて臭い心を吐きながら、怨歌(えんか)ひがみ節を唸っていた。
僻(ひが)み〜ぃます〜 妬(ねた)み〜まぁす〜 恨(うら)みぃ〜ます〜ぅ ♪
彼らの近くで、天邪鬼(あまのじゃく)が、アップテンポなリズムで楽しく踊っていた。 「あっ、すずかちゃんからメールだ!」
寂しいです 早く逢って 抱きしめて殺したいです!
「わぉ〜〜〜!」
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