テレビでは、老人の孤独死のニュースをやっていた。 発明家のお父さんは、テレビを見ながら対戦パチンコを調整していた。 「一見、自分だけのことだけで生きていたほうが得のような気がするけど、そんなことやってると、誰も相手にしなくなる。そして、孤独になってしまう。」 若者は、頷いて答えた。 「そうですね。」 対戦パチンコの相手側には、妖怪駄洒落坊主が座って、玉を弾(はじ)いていた。 「これ、手で弾くんですね。」 「今のところはね。」 「これ、売れますよ。絶対!」 「そうかなあ?」 けんけん姉さんが出てきた。 「そんなの売れるわけないよ!」 若者はびっくりした。 「えっ、どうしてなんですか?」 「みんな、パチンコが好きでやってるんじゃないのよ。」 「えっ?でも、たくさんの人がやってますよ。」 「お金儲けに来てるのよ。お金や商品を貰えないと来ないわよ。」 「まあ、そうですけど…」 「そんなものだよ、世の中の人なんて。お金になれば何でもいいのよ。」 「そうかなあ?」 お父さんが寂しく言った。 「お京の言うことは、いつもリアリティがあるなあ。」 「お父さんは、根っからのロマンチストだからね。」 窓の外では、狂ったように雨が降っていた。 「なかなか止みそうにないわね?」 「そうですねえ。」 死神も、退屈そうに見ていた。 姉さんが、若者の背後にいる死神を見ながら言った。 「あなた、自殺しようとしたの?」 「いいえ。」 「だったら、おかしいわねえ?」 お父さんが歩み寄ってきた。 「うん、おかしいなあ〜?」 赤鬼が歩み寄ってきた。 「おかしいなあ〜?」 青鬼も歩み寄ってきた。 「おかしいなあ〜?」 駄洒落坊主も歩み寄ってきた。 「おかしいなあ〜?」 死神は、みんなの視線に驚いて、大きな首切り鎌を持ち上げた。
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