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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第96回   お母さん
ショーケンはしゃがみこみ、猫のタマを撫でていた。
クリスタル・ヨコタンは、ショーケンと猫を見ていたが、振り向くと、お兄ちゃんに尋ねた。
「パソコン、どこに運ぶの?」
「僕の部屋です。」
ショーケンが立ち上がった。
「よっし、俺が運ぶよ。」
ショーケンは、パソコン本体を持ち上げた。
「なんだ、軽いじゃん。どっち?」
お兄ちゃんが、ディスプレイを持つと、ヨコタンはルーターを持った。
「こっちです。」
真由美は、「パ〜ソコン、パ〜ソコン!」と言って踊りながら騒いでいた。
みんなは家の中に入って行った。
母親が、居間らしい部屋で正座をしてテレビを見ていた。家のなかは、都会の家と違って広かった。
「お母さん、パソコン持って来たよ。保土ヶ谷さんのところの人が手伝いに来たんだ。」
母親は、頭を下げた。
「わざわざ、すみませんねえ。」
ヨコタンが挨拶を返しながら返答した。
「はじめまして、ヨコタンと言います。すぐに終わります。」
「よろしくおねがいします。」
母親はショーケンに目が移った。
「あなた…」
軽く指をさした。
「ショーケンさん?」
ショーケンは、ちょっと間をおいて答えた。
「はい。」
「え〜〜〜、嘘〜〜〜!」
「ショーケンです。はじめまして。」
「え〜〜〜、嘘〜〜!」
「びっくりさせて、すみません。」
「そっくりさんなの?似てるわね〜〜。」
「そんなに似てます?」
「声や身振りまで、そっくり!?」
「なんだったら歌いましょうか?」
「え〜〜〜、どうなってるの?」
「リクエストありますか?」
「え〜〜〜ぇ、じゃあ、…一番有名な、テンプのお母さん、を歌ってくれます?」
「いいですよ。ちょっと待ってください。このパソコンを置いてきますから。」
ショーケンは、お兄ちゃんに尋ねた。
「どっち?」
「こっちです。」
ショーケンは直ぐに戻ってきた。
「じゃあ、ちょっとだけ歌います。」
少女は母親の隣にいて、何だろうという顔をして、きょとんとしていた。

 いつまでぇも〜〜 いい子でいてね〜〜 ♪
   たったぁ一言ぉ〜〜 いい子でいてぇね〜〜〜 ♪

「わ〜〜〜、ショーケンだわあ〜!」
母親は、目を潤ませ感激していた。
「あ〜〜、なんだか声が出ない。これで納得しました?」
「納得しました。」
「良かったぁ〜。」
「でも、どうしてこんなところに?」
「…ちょっと、高野山見物に遊びに来たんです。」
少女は不思議そうに母親を見ていた。
「この人、歌手なの?」
「そうよ。有名な、もてもてのアイドルだったのよ。」
「あいどる?」
「かわいこちゃんの、女の子にもてもての歌手。」
「かわいこちゃん?」
「若い頃は、とってもかわいかったのよ〜。子の人!」
「だから、かっこいいんだぁ〜。」
「そうでしょう。」
ショーケンは、眉間に皺を寄せていた。
「その、かわいこちゃんが嫌で、僕はアイドルをやめたんですよ。」
「そうなんですか。」
「いやでいやで…」
「だから、本物志向のロックに行ったんですね。」
「そういうことです。」
「お母さん。このかっこいい人、ショーケンって言うの?」
「そうよ。」
「ぅっわ〜〜、本物の歌手なんだ。かっこい〜〜ぃ!」


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