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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第93回   ダウンロード
女性隊員は、なかなか返事が返ってこないので、頬杖をついていた。
「何て書きましょうか?」
「そうだなあ…」
「不満をそのまま書けばいいんじゃないですか?…匿名で。」
「そうだな。」
「何て書きましょう?」
「拝啓…」
「はいけい?手紙じゃありませんよ。」
「あっ、そうか。こういうの書いたことないからなあ。」
「ブログもやったことないんですか?」
「ああ、ないよ。そんなもの。」
「手紙じゃないんだから、話すように書けばいいんですよ。」
「ああ、そうなの。じゃあ…」
「はい、どうぞ。」
忍が横から口を出した。
「俺が言うよ。いいでしょう龍次さん?」
「ああ、いいよ。」
「じゃあ、言ったように書いて。」
「はい。」
「mp3ファイルを、いちいちダウンロードするのは面倒です。案山子本体の中に入れておいてください。」
「はい。」
「それから、強風で落ちたものは自動で元に戻るんですか?」
「はい、書きました。」
「この性能で五千円は、ちょっと高いです。」
「はい。」
「それでいいよ。」
「はい。送信!」
「書けた?」
「ちゃんと書けました。」
龍次は、吠太郎を見ていた。
「試作品じゃないものを買おうと思っていたけど、止めたよ。」
彼女が立ち上がった。
「もういいですか?まだ仕事があるもので。」
「いいよ。ありがとう。」
彼女は隣の部屋に戻って行った。
「じゃあ、コーヒーでも飲むか…、忍くんも飲むかい?」
「わたしはいいです。」
「あっ、そう。」
「ダウンロードしたものを、案山子に取り込むにはどうするんだろうなあ?龍次さん知ってる?」
「取り込む?さぁ〜〜〜あ。」
「駄目だあ〜、こりゃあ。」
忍は彼女を呼んだ。
「サキちゃ〜〜〜ん!」
サキちゃんが出てきた。
「何ですか?」
龍次は知らん顔して、台所の方に引っ込んだ。
「あれえ、龍次さん行っちゃった。」
「何ですか?何か御用でしょうか?」
「さっきダウンロードしたでしょう。」
「はい。」
「あれを、この案山子に入れるにはどうしたらいいの?」
「簡単です。USBケーブルで繋げばいいんですよ。」
「それだけ?」
「それから、ファイルを案山子に移すんです。」
「どうやって?」
「やったことありませんか?」
「ない。」
「じゃあ、わたしがやります。よく見ててください。」
「よく見とくよ!」
サキちゃんは、USBケーブルをパソコンに差し込んだ。片一方の端子を忍に渡した。
「それを、案山子の背後の端子に差し込んでください。」
「う〜〜〜んっと、…無いよ、そんなもの。」
「たぶん、ビニールの端子カバーがついています。」
「あ〜〜、これだ!分かった!これを外すんだね?」
「はい。」
「それに繋いでください。」
「はい、繋いだ。」
「エクスプローラを開いて、案山子の中のファイルを削除します。」
「エクスプローラ?」
「ファイル管理ソフトです。」
「ふ〜〜〜ん…」
「右クリックで削除できます。」
「なるほど…」
「それから、マイドキュメントに移動して、ダウンロードしたファイルを、案山子に移します。」
「移す…」
「こうやってね。コピー、そして貼り付け。」
「なるほど〜〜!」
「分かった?」
「なんとなく分かったけど、たぶん忘れるな。」
「な〜〜んだ、せっかく解説したのに。」
「また頼むよ。お願い!」
「しょうがないわねえ。」
龍次が、コーヒーカップを右手で持ちながらやってきた。
「どう、分かった?」
「分かりました。」
彼女は立ち上がった。
「後は、やってください。」
忍は親指を立てた。
「ありがとう!」
「でも、入ってるかどうか、やってみないと分からないわよ。ダウンロードしたファイルが壊れてるかも知れないし。」
「そんなこともあるの?」
「よくあります。」
忍はスイッチを入れた。
 ウ〜〜〜〜 ウ〜〜〜〜 !
「おお、いいねえ。」
忍はスイッチを切った。
「これで大丈夫!」
龍次が忍に尋ねた。
「これで、ほんとうに熊が逃げるの?」
「たぶん。」
「忍くんのラップのほうが効果あるんじゃないの?」
「どぉういう意味ですか?」


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