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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第91回   うきうきショーケン
案山子(かかし)の吠太郎を抱えて、甲賀忍が入って来た。
「保土ヶ谷さん。これ、音を変える方法が分かりません。」
龍次はが手招きをした。
「ちょっと持ってきてよ。」
面倒くさそうな口調だった。
「音を変えるって、後ろにスイッチがあるんじゃないの?」
「それがないんです。オンとオフのスイッチだけなんです。」
「どれどれ…」
龍次は、案山子の吠太郎の背後を見た。
「ほんとだねえ…」
「説明書には、確か音をサイレン音に変えたり、録音できたりと書いてあったような記憶があるんですけど。」
「あっ、説明書か。」
「ありますか?」
「ちょっと待って!」
龍次は、整理棚の引き出しを調べた。
「おっかしいなあ…」
「あっ、わたしが探します。」
「いいよ、いいよ。」
「…」
「おっかしいなあ、ないなあ。」
「分かりました。なんとかします。」
忍は、吠太郎を抱えて出て行こうとした。
「ちょっと待って、君パソコンで検索できるよね。」
「はい。検索くらいでしたら。」
「じゃあ、そこの新しいパソコンで検索してよ。インターネットで取り寄せたんだから説明書くらい出てくるよ。」
「ああそうですね。」
忍は、新しいパソコンの前に座った。慣れない手つきで検索を始めた。
「あっ、そうだそうだ。」
龍次は、古いパソコンを指差した。
「これこれ、まさと君、これ!」
まさとを手招きして呼んだ。まさとは、すたすたとやって来た。
「これですか。まだいいパソコンですねえ。」
「まだ、ちゃんと動くよ。お〜〜い、誰かいないか!」
「隣の事務室から女性の隊員が一人出てきた。」
「はい、何でしょうか?」
「男の人がいいなあ。いる?」
「います。呼んできます。」
代わりに、男の隊員が一人出てきた。
「何か?」
「これを、リアカーに積んでくれない。」
「はい。」
まさとが出てきた。
「僕も運びます。」
「リアカーはどこ?」
「入り口の前です。」
「じゃあ、このディスプレイ持って行って。」
「はい。」
ディスプレイを外すと、男の隊員がパソコン本体とキイボードとマウスを持って行った。
まさとがディスプレイを持って運んだ。まさとと隊員は直ぐに戻ってきた。
まさとが龍次に頭を下げて礼を言った。
「じゃあ遠慮なく、待っていきます。」
龍次は、出て行こうとしたまさとを呼び止めた。
「ちょっと、待って!」
まさとは振り向いた。
「はい、何でしょうか?」
「ルーターがいるんだ。」
「ルーター?」
「インターネットと繋ぐやつ。」
「ああ、そうなんですか。」
龍次が、みんなに尋ねた。
「誰か、ルーター知らない?」
ワンピース姿のクリスタル・ヨコタンが微笑みながら答えた。
「ルーターは、新しいパソコンに接続されてます。」
龍次は、新しいパソコンを見た。ルーターが横にあった。
「あっ、そうか。」
「使ってないルーターなら、棚にあります。」
ヨコタンは、棚の上のルーターを指差した。
「あれです。」
龍次は、彼女の指差す方向を見た。
「あれ、使えるよね。」
「はい、使えます。」
男の隊員が取りに行った。そして、龍次に渡した。
「ほこりをかぶっているけど、だいじょうぶみたいだね。」
ヨコタンが念を押した。
「大丈夫です。」
龍次は、男の隊員に尋ねた。
「君、ルーターとかパソコンの設定できるよね?」
「わたしはちょっと…」
「できないか?…誰かいないかな。」
ヨコタンが返事をした。
「わたしが行きます。」
「えっ、行ってくれる?」
「はい。」
まさとが、心配そうな顔で龍次に尋ねた。
「あのう、インターネットの接続料金って高いんですか?」
龍次が返答した。
「大丈夫。高野山プロバイダーを使えば、独自のサーバーだから格安になってるよ。」
「いくらくらいなんですか?」
「そうだ、収入の少ない家庭は無料なんだよ。だから大丈夫だよ。」
「え〜〜、そうなんですか?」
彼女が答えた。
「そうですね。」
「ヨコタン、ついでに手続きも頼むよ。」
「はい。」
ヨコタンがやってきて、まさとの顔を見た。
「じゃあ、行きましょう。」
龍次が心配して彼女の顔を見た。
「帰り、ひとりで大丈夫かな?君は美人だから」
「大丈夫ですよ。近くですから。」
「けっこうあるよ。」
ショーケンが出てきた。
「僕が、僕が行きますよ。一緒に。」
龍次は戸惑った。
「ショーケンさんはゲストですから。誰か、いないのか〜!」
「大丈夫です!まかしといて!」
クールなショーケンが、なぜか情熱的に微笑んで、うきうきとしていた。


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