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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第9回   甲賀忍
レンタル自転車屋さんは、意外と近かった。
「兄貴、どれにする。」
「どれでもいいよ。」
「乗ってみなきゃあ分からなんじゃん。」
レンタル屋のおじさんが出てきた。
電動もありますよ。
アキラはにこっと笑った。「電動。高いの?」
「24時間で2千円になってます。」
「どうする、兄貴?」
「普通のでいいよ。」
二人は、同じようなママチャリを借りた。
少女は、嬉しそうに二人を見ていた。
「公園まで、案内してあげるよ。」
ショーケンが、「ありがとう。」と答えた。
「やっぱ、ママチャリだね。兄貴。」
「そうだな。」
「籠がついてるもん。荷物が入るから、やっぱこれだよ。」
そう言うと、アキラはバッグを前籠に入れた。
「取られるなよ。」
「こんなとこ、そんな奴はいないよ。」
「そうだな。」
三人は、ゆっくりと走り出した。少女が、無邪気な子供のような笑顔で先導していた。爽やかな風が吹いていた。
「こっちよ。」
アキラが手を上げて「あいよ!」と言って、答えた。それから、ショーケンに、
「なんか、森に囲まれて、爽やかな気分だねえ。」と言った。
「この空気のせいだな。」
「腐った空気のなかで生活してたんだねえ。俺たち。」
「そうだなあ。」
「だから、馬鹿になっちまったんだよ。」
「そうかも知れねえなあ。」
「ここにいると利口になっちゃうかも。」
「子供の頃は、こうやってよく走ったなあ。」
十分ほどで、公園に着いた。
少女が、柔らかく指をさした。
「ここ。」
三人は、自転車を降り、押して公園の中に入った。中ほどに野外ステージがあった。人が集まっていた。
「あそこ。」
ニート革命軍・最高幹部のカリスマ、りゅうじが演説をしていた。
「兄貴、龍次だ!」
「もっと、近くに行こう。」
三人は、近くまで行くと自転車を止め、鍵を掛けると、ステージの前まで行った。
ステージの前は芝生になっていて、千人くらいの人々が、自由に群がっていた。
ステージには、カリスマ龍次がいた。

 皆さん 過去の常識で 今を語ってはいけません!
  われわれは 勇気をもって 大地に引きこもりましょう!
   母なる大地を守るために 大地とともに生きましょう!

龍次の演説が終わると、甲賀忍(こうがしのぶ)が出てきた。
少女は注目した。
「あっ、甲賀忍(こうがしのぶ)だ!」
甲賀忍(こうがしのぶ)はラップのリズムで軽快に歌いだした。

♪♪♪
俺たちには明日は無い♪ 何がある♪ 今日がある♪
 俺たちには明日は無い♪ 何がある♪ 今日がある♪
  あと50年で地球は酸欠地獄♪ 働いて何になる♪
   あと50年で地球は酸欠地獄♪ 勉強して何になる♪
 あと50年で地球は酸欠地獄♪ 訓練して何になる♪



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