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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第89回   用心棒
アキラがリアカーのタイヤに空気を入れていると、龍次と鶴丸隼人と昼間の青年がやって来た。
龍次が先頭を歩いていた。
「アキラさん、連れて来たよ。」
アキラは作業を中断して、顔を上げた。
「早かったじゃん。」
「もう直ったの?」
「大丈夫。完璧。」
「どうもありがとう。」
「どうってことないよ。」
紋次郎は、黙ってテーブルの椅子に座っていた。
「伊賀さん、このロボット。」
龍次は、紋次郎を指差した。
「左足をみてやってください。」
青年は、素直な声で答えた。
「はい。」
青年は、紋次郎の左横まで行って、紋次郎の左足を見た。
「足を、こっちに出してくれない?」
紋次郎は、青年の目を見ながら返事をした。
「はい。」
「歩けない?」
「まともには歩けません。」
「ちょっと歩いてみて。」
「はい。」
紋次郎は歩いてみせた。左足が、ちゃんと着地されないままで歩いていた。
「止まって!」
紋次郎は歩くのを止めた。
「足首のバネみたいですね。」
紋次郎は、左の足首を浮かせていた。
「やっぱりね。」
「新しいバネと交換すれば大丈夫です。交換するには、特殊な工具も必要です。」
龍次が出てきた。
「それはどこにあるんですか?」
「ロボットを扱ってるところなら、どこにでもあると思います。」
「それを取り寄せればいいんですね。」
「はい。」
「取り寄せたら、修理できますか?」
「はい。できると思います。」
「じゃあ、お願いしようかな。」
青年は、なぜか微笑んでいた。そして、龍次に頭を下げ礼を言った。
「ありがとうございます。」
「えっ、何が?」
「わたしみたいな者を使ってくださって。なんだか、昔を思い出しました。なんだか、少し自信が出てきました。」
「あっ、そうなの。それは良かった。」
アキラが出てきた。
「人間は、お互いに助け合わないとね。ねっ、龍次さん。」
「アキラさんが、そんなこと言うなんて珍しいね。」
「そうかなあ〜?」
龍次は目で笑っていた。龍次の顔を見たアキラも微笑んでいた。
なぜか、鶴丸隼人だけが、忍者のような用心深い目で黙ってみんなを見ていた。
アキラが鶴丸隼人に近寄って行った。
「どうしたの?」
「えつ、わたし、変ですか?」
「悩みでもあるような顔してるよ。」
「えっ、悩みなんかありませんよ。」
「ああ、そう。」
外から声がした。
「すみませ〜〜ん!保土ヶ谷さん、いますか〜〜?」
その声に、龍次本人が声を返した。
「いるよ〜〜!」
真由美ちゃんの、お兄ちゃんが入ってきた。
「まさとくん、どうしたの?」
「あのう、パソコンを頂きに来ました。」
「あ〜〜、そうそう。集会所にあるから持って行って。」
「集会所ですか?」
「あっ、僕が案内する。」
「大きいんですか?」
「昔のだから、けっこう、大きくって重いよ。」
「だと思って、リアカーを持ってきました。」
「ああ、それは良かった。」
まさとと龍次は、作業所から出て行った。鶴丸隼人も追うように出て行った。


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