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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第84回   ウイルスチェック
ウイルスチェックは、三十分ほどで終わった。
「終わりました。異常なしです!」
姉さんはテレビを見ていた。
「異常なし?」
「ウイルスは発見できませんでした。」
「おっかしいなあ。そんなはずないよ。」
「ほんとうです。」
「じゃあ、何なんだろうねえ。おまえの異変は?」
「わたし、変ですか?」
「ものすごく変だったよ。」
「そうかなあ。」
「CPUの熱暴走でもないしなあ…」
「はい。」
「それにしても、時間のかかり過ぎだよ。そのチェック。」
「仕方ありません。ここのインターネット回線が遅いんです。」
「じゃあ、やっぱり。狐でも憑いたんだな。」
「そんなことありませんよ。」
窓の外の吠太郎が吠えた。
姉さんは驚いた。
「なんだ、なんだ!?」
アニーは冷静な表情で、窓を見ていた。
姉さんは窓際に行き、窓の外を覗いた。
「おっかしいな。何もいないよ。」
「わたしが外を見てきます。」
「おまえ、大丈夫か?」
「大丈夫です。」
「戦闘モードにして行きなさい。」
「はい。」
福之助は、携帯の高電圧電撃棒を取ると、長く伸ばし、しっかりと右手に持った。
「じゃあ、行ってきます。」
「自分に当てるんじゃないよ。」
「そんなドジはしませんよ。」
「どうかな?」
「しません!」
「やっぱり、わたしが行ったほうがいいかなあ。」
「人間を危険にさらすわけにはいきません。」
「大丈夫だよ。わたしには、紅流(くれないりゅう)・金縛りの術があるから。」
「大丈夫です。わたしは人間を守るロボットです。」
「お前は、お坊さんロボットだからなあ。」
「何言ってるんですかあ?」
福之助は、問答無用とばかりに急いで出て行った。ログハウスの周りを一周すると戻ってきた。
「何もいなかったです。」
「おかしいなあ。また、誤動作か?」
「そうかも知れません。」
アニーが口を挟んだ。
「狸とかネズミとかリスなんかじゃないの?」
福之助が同意した。
「そうですね。」
姉さんは、目玉を上に向けていた。
「じゃあ、誤動作じゃないってことか。」
アニーは起き上がった。パジャマを着ていた。姉さんは、その事に初めて気がついた。
「あら、いつ着替えたの?」
「さっき、葛城さんが出て行ったときに。」
「ああ、そうなの。」
「葛城さんのも、ありますよ。」
「わたしは、後でいいです。まだ起きていますから。」
「そうですね。」
「ああ、そうだ。高野山には、自然薯お好み焼きってあるんですか?」
「ありますよ。」
「有名なんですか?」
「うん、そうね。けっこう有名なのかしら?」
「ふ〜〜ん。どこにあるんですか?」
「そうですねえ、高野山にあるのかなあ…、忘れちゃった。」
福之助が露骨に口を出してきた。
「姉さんは、食いしん坊なんだからなあ〜。」
「なんだって!?」
「そんなに気になるんだったら、インターネットで調べたら?」
「インターネットねえ…」
「調べたら、直ぐに分かりますよ。」
姉さんは、眉を吊り上げ、「じゃあ、調べるか!」と言うと、テーブルのパソコンの前に座った。そして、直ぐに検索を始めた。
「高野山、おいしい自然薯お好み焼き…、っと。」
アニーが助言した。
「おいしいは、つけないほうがいいですよ。検索効率が悪くなります。」
「ああ、そうか。」
福之助が姉さんの後方にやってきて、パソコンを覗き込んだ。
「どうかな?」
「ポンコツは、向こう行ってろぉ!」
「そりゃあないよ、姉さん!」


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