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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第78回   語りウイルス
きょん姉さんは、ニコニコしながらドアを開け帰ってきた。
福之助はドアの前に立っていた。姉さんは驚いた。
「ああ、びっくりした!」
「姉さん、遅かったじゃないですか!帰ってくるのに、三十六分四十八秒かかってます。」
「おまえが、変なこと言うからだよ。」
「えっ?何のこと?」
「変なこと、あの人に質問しただろう。」
「変なこと?」
「人間の生き方がどうのこうのって。」
「あ〜〜〜、しました。人間は何のために生きているのかと。」
「初対面の人に、そんなこと質問するんじゃないよ。失礼じゃないか。」
「失礼?」
「初対面の人に、そんなこと言っちゃあ駄目なの。」
「ああ、そうなんですか。」
「プログラムを修正しときな。」
「はい。」
姉さんは、笑顔に戻っていた。画用紙を三枚、福之助の目の前に見せた。
「これ、もらっちゃった!」
福之助が見たものは、色鉛筆で描かれた姉さんの絵だった。
「いいですねえ。よく似てるなあ。」
「だろう!だろうだろう!」
アニーが姉さんを見た。
「お帰りなさい。」
「ただいまあ。」
姉さんは、アニーの方に歩いて行き、同じように見せた。
「これ、もらったんですよ。」
「わ〜〜、そっくり!」
「アニーさんも、元気になったら描いてあげましょう。って言ってたわ。」
「わ〜〜、早く元気になろう。」
「どうですか?少しは良くなりました?」
「ええ、だいぶ良くないました。寒気がなくなりました。」
「良かった。寒気があるときには、熱が上がるときなんですよ。」
「そうなんですか。」
「もう大丈夫です。熱が下がっている証拠です。」
「良かった。」
「インプルエンザじゃないみたい。」
「そうですね。インフルエンザだと高熱が出ますからね。」
「新型のインフルエンザかと思っちゃった。」
「ウイルスは高野山みたいな、こんなところまでは来ませんよ。」
「そうですね。」
福之助がやってきた。
「新型のウイルスは、若い人が好きらしいですから、大丈夫です。」
アニーは、首を傾げた。
「どういうこと!?」
「ごめんなさい、失言です!」
「わたしは、年寄りってこと?」
「いや、そういうわけでは。ちょっとだけ若くないってことです。」
「ちょっとだけ?」
「言葉を間違えました。若いじゃなくって、子供です。」
姉さんが、睨んでいた。
「そうよ。最初からそう言いなさいよ。馬鹿だねえ!」
「はい。ごめんなさい。」
「おまえこそ、ウイルスに感染してるんじゃないの?」
「えっ、どういう意味?」
「さっきから、変なことばっかり言ってるじゃない。」
「そうですかねえ。」
「新型の、語りウイルスじゃないのか?」
「語りウイルス?」
「なんだか、そういうウイルスプログラムが流行ってるらしいよ。」
福之助は、目玉を寄せて考えだした。
「検査したほうがいいよ。」
「そうですね。やってみます。」
福之助は、パソコンのほうに進んでいった。パソコンの前に静かに座った。パソコンの電源を入れると、外部端子を自分の胸の入力端子に繋いだ。
「ワクチンの最新バージョンをダウンロードします。検査終了までに、最低五分かかります。ご了承ください。」
「分かった分かった。早くやってちょ。」
「やってちょ?」
「早くやれよ。」
「はい!」
福之助は動かなくなった。
「うっ!」
福之助が唸った。姉さんは驚いた。
「どっ、どうした?」
「利くぅ〜〜!」
「何が?」
「ほんの冗談です。」
「おまえ、やっぱおかしいよ。」


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