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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第7回   カリスマ龍次
ショーケンが諭(さと)すように、少女に言った。
「日が暮れる前に帰ったほうがいいぞ。変な奴が出てきて食べられるぞ。」
「もうじき帰るよ。」
「こんなとこ、年寄りとかが来るとこだろう。」
「まあね。」
「普通の家出ってのは、新宿と原宿に行くんじゃないの。」
「まあね。」
「ひとりで、よくこんなとこまで来たなあ。たいしたもんだ。」
「あたし、ひとりが好きなの。」
「こんな山の中、お寺でも見に来たのか。」
「そう、お寺を見に来たの。」
「じゃあ、早く見て帰ったほうがいいぞ。」
アキラが自動販売機に硬貨を入れながら言った。
「もうすぐ三時になっちゃうよ。」
「分かってますよ。」
「兄貴は、コーラ?」
「うん。俺は日本茶でいいよ。」
少女は携帯電話を出して、時計を見た。
「4時になったら帰るんだ。」
アキラが、赤い自転車を見ながら、少女に質問した。
「その自転車、どうしたの?」
「これは、レンタル。」
「レンタル。」
「一日千円で貸してくれるよ。」
「ふ〜〜ん。安いねえ。」
「教えてあげようか。」
「兄貴、どうする?」
「そうだなあ…高野山は、けっこう広そうだしなあ。」
「すっごい広いよ。ショーケンさん。」
ショーケンは、びっくりした。
「なんで知ってんだよ、俺の名前?」
アキラもびっくりした。
「どっかで逢ったのかな?」
「だって、テンプターズのショーケンにそっくりだもん。」
アキラは少し笑っていた。
「ショーケンって、昔のアイドルだよ。知ってるわけないじゃん。」
「お母さんがファンだったの。小さい頃に、よくビデオを見てたの。」
「なるほどね。」
「でもそっくりねえ。双子みたい。」
「実は、この人ね…」
「アキラ。余計なこと言うな。」
「写真に撮ってもいいかしら。」
ショーケンは、しぶった。
「それは、ちょっと駄目だな。」
「なんで?」
アキラが、「写真は、駄目。」と言って、両腕をクロスさせた。
「警察にでも追われてるの?」
ショーケンは正直に言った。
「そういうこと。」
「ああ、分かった。頭脳警察ね。」
「よく分かったねえ。」
「ここに来る人って、そういう人が多いんだよ。」
「あっ、そうなの。」
「天狗の昼寝公園に、そういう人が沢山いるわよ。」
「えっ、何それ?」
「ニート革命軍の人たち。」
アキラが、びっくりした。
「ニート革命軍!あいつら、ここにいるんだ!」
「まだ公園で、カリスマ龍次先生が演説してるよ。」





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