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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第65回   大菩薩未来研究所爆破事件
薄暗い野を、小動物たちが、今を生きようとして、必死に駆けていた。
「あっ、リスだわ!」
福之助は、姉さんの隣にいた。二人は、窓のカーテンを少し開けて、部屋の灯りも点けずに、外を眺めていた。
「今のは、違いますよ。」
「リスになってみたいな〜…」
「はっ?」
薄暗い公園広場辺りには、もう人影はなかった。
「あいつら、帰ったみたいだねえ。」
「そうですね。きっと、別の道から帰ったんですね。」
「人のいない高野山は、なんだか寂しい景色だねえ。高野山(こうやさん)は、やっぱ寒いねえ。」
「神様は、いったいリスに何をさせようとしているんでしょう?」
「はっ?」
「人間を作った神様は、いったい人間に何をさせようとしているんでしょう?」
「はぁ〜ぁ!?」
「何か変な質問ですか?」
「おまえ、大丈夫か?どっかで頭打ったんじゃないか?」
「ロボットである私は、人間を助けるために動いています。でも、人間は誰のために、何のために生きているのでしょう?」
「おいおいおい、おまえ、大丈夫か?」
「神様を助けるために生きているんですか?」
「おいおいおい、ほんとに大丈夫か?」
「変な質問ですか?」
「ちょっと、頭を冷やして休んだほうがいいぞ。」
「…現在、外は十二℃、室内は二十℃です。頭部を冷却する必要はありません。」
「いいからいいから、ちょっと休め。」
「大丈夫です。」
「いいから、休んでろ!」
姉さんは、福之助の額(ひたい)に手を当てた。
「ちょっと、熱があるみたいだな〜…」
「大丈夫ですって。」
「アイスノン持って来るから、頭に乗せて休んでろ!」
「大丈夫ですよ。そんなの要りませんよ。」
アニーは、不思議そうな顔で、会話を聞いていた。
携帯の呼び出し音が鳴った。アニーにおまかせのテーマ曲だった。
アニーは、上体を起こして、携帯電話を取った。
「レッドルーク。こちら、国連地球警察のアニーです。」
『……』
「はい、分かりました。」
アニーは起き上がり、室内にあった壁掛けテレビのスイッチを入れた。
姉さんが尋ねた。
「どうしたんですか?」
「大菩薩未来研究所が爆破されたみたいなんです。」
「えっ、大菩薩未来研究所?」
「大菩薩峠にある、政府の新型ロボット研究所です。」
「爆破って、いったい誰が?」
「彼からの連絡によると、新日本赤軍って言ってました。」
「昨日の忍者姿の彼ですか?」
「はい。」
テレビで、臨時ニュースが流れていた。夕闇に、真っ赤に炎上している大菩薩未来研究所が映っていた。

 五時半頃、大菩薩未来研究所爆破が何者かによって、爆破されました
 ロケット砲か、小型ミサイルによるものらしとのことです。
 近くで新日本赤軍らしい集団が目撃されていますが、彼らによるものかは、まだ分かっていません。



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