カーテンの開いている窓側から、けたたましい警報音が聞こえてきた。 みんなは驚いた。 姉さんは窓を見た。 「何、今の!?」 座っていた福之助は、立ち上がった。 「龍次の吠太郎(ほえたろう)です。」 福之助は、窓際まで行って、窓の外を右に見て、左に見た。 「おかしいなあ、誰もいません。」 姉さんも、確認にやって来た。 「そうだねえ。」 アニーは座っていた。 「誤動作じゃないんですか?」 姉さんは、「そうかもね。」と言って席に戻った。 「福之助、念のために見て来て。」 福之助は、「はい、見てきます。」と言って、出て行った。 福之助は、間もなく戻って来た。 「誰もいなかったです。スイッチを切って来ました。」 「やっぱり、誤動作かなあ。」 「そうですね、あれ安そうですから。」 「そうだね、自然薯(じねんじょ)みたいな龍次が作ったやつだからね。」 「そうですね。」 みんなは、大笑いをしてジルバのステップで踊りだした。 「じねんじょ、じねんじょ♪」 「じねんじょ、じねんじょ♪」 「じねんじょ、じねんじょ♪」 「福之助、おまえのは、ジルバじゃなくって盆踊りだよ。」 「あちゃ〜〜!」 一踊りすると、みんなは元の席に座った。 「アニーさん、大丈夫?踊ったりして?」 「このくらいは、だいじょうぶですよ。」 「あっ、そうだ。風邪薬を飲んだほうがいいんじゃないかしら。」 「そうですね。忘れてました。」 「福之助、薬と水を持って来て。」 「はい。」 「それにしても、さっきのショーケン、似てましたねえ。」 「そうですねえ。」 福之助が戻ってきて、薬と水の入っているコップをテーブルの上に置いた。 「はい。」 アニーは、福之助を見ながら、「ありがとう。」と言った。 福之助は、アニーを見ながら元の席についた。 姉さんが立ち上がり手を伸ばし、福之助の頭に手刀を当てた。 「空(す)きあり〜!」 「何するんですか!?」 「おまえ、空(す)きだらけだよ。」 「何ですか、いきなり?」 「空(す)きだらけ。」 アニーは、クスクスと笑っていた。 「あなた達、面白いわ。」 姉さんは、福之助を睨んでいた。 「福之助。」 「何ですか?」 福之助は、手を上げ身構えていた。 「さっき、ショーケンを写したんだろう。」 「はい。」 「それ、わたしの携帯とアニーさんの携帯に送ってくんない。」 「はい。」 姉さんは、携帯を出した。アニーも出した。 「はい、送りました。」 姉さんとアニーは携帯の画面を見た。 「姉さん、行った?」 「ああ、来たよ。」 「わたしのにも入ったわ。」 「これ、本物のショーケンだよ。」 「そうですねえ…」 「どういうことかしら?ショーケンが、なぜこんなところにいるのかしら?」 「でも、このショーケン、なんだか変だわ。」 「えっ、何がですか?」 「これ、昔のショーケンだわ。若い頃のショーケンだわ。」 「なるほどぉ、二十代の頃の顔ですねえ。いったいどういうことかしら?」 「…ひょっとしたら。」 「ひょっとしたら?」 「ひょっとしたら、コピーじゃないかしら?」 「コピーって?」 「クローン人間。」 「クローン人間・・」 「そういう謎の極秘情報があるんですよ。」 「謎の極秘情報?」
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