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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第58回   奥の手
トントン!きょん姉さんは、必死でログハウスのドアを利き手で叩いていた。
「開けてぇ〜!」
福之助の声がした。
「姉さんですか?」
「ああ、そうだよ。アイアンメイデン!」
「今開けます!」
姉さんは、息を切らせながら中に入って行った。急いで、ドアを閉めた。
福之助は、エプロンをしていた。
「どうしたんですか?」
「あ〜〜〜ぁ、びっくりした!」
「どうしたんですか?」
アニーも心配顔で尋ねた。
「何かあったんですか?」
姉さんは、喘ぎながら答えた。
「あいつらに、見つかっちゃたぁ!」
福之助は、びっくりした。
「え〜〜〜ぇ!?」
「捕まっちゃったんだよ。」
福之助は、大びっくりして、両手を上げた。
「捕まっちゃったの、でもここにいるじゃない、どうしたの!?」
「逃げてきたんだよ。」
「どうやって?」
「奥の手を使って、逃げてきたのよぉ〜お!」
「奥の手って?姉さんは、右手と左手の他にあるわけ?奥の手ってのが?」
「おまえ、なあに言ってるんだよ?」
「どういう意味?」
「踊り酔拳(すいけん)を使ったんだよ。」
「え〜〜〜!…なんでしたっけ、それ?」
姉さんは、ずっこけた。
「これだよ。」
姉さんは、軽くやってみせた。
福之助は頷いた。
「ああ、それですか。」
「ああ。」
「それ、やったんですか!?」
「だから、やったって言ってるだろう。」
「そ〜うだったんですか!その後は?」
「You Really Got Me で走ってきたよ。ダンダンダンダンってね。」
「キンクスですね。歌いましょうか?」
「いいよ!あ〜、まだ胸がドキドキしてる。」
「水飲みます?」
「ああ、持ってきて。」
福之助は、水を取りに行った。
アニーが、ベッドから起き上がってきた。
「大丈夫ですか?怪我はありませんか?」
「だいじょうぶです。」
「踊り酔拳(すいけん)って、何なんですか?」
「父から習った、相手を酔わせる秘術拳法です。」
「相手を酔わせる秘術拳法?」
「相手を酔わせて倒すんです。」
「それは凄いや。」
「アニーさんのハイキックほどじゃありませんよ。」
福之助が、コップに水を入れて持ってきた。
「はい。」
「ありがとう。」
姉さんは、半分ほど飲んだ。
「だいぶ、落ち着いてきた。」
「あ〜、良かった。」
「福之助、こっち側の窓のカーテンを閉めて。」
「はい。」
「あいつらがやってくる。」
「随分、早いですね?」
「カーテンの隙間から見張っててよ。」
「はい。」
姉さんは、アニーを気遣った。
「起きて、大丈夫なんですか?」
「大丈夫です。さっきより良くなりました。」
「それは良かったわ。」
福之助が、姉さんを見た。
「姉さん、あいつらがやって来ました。」
姉さんとアニーは、福之助の背後に立ち、カーテン越しに覗き込んだ。
福之助の顔が百八十度回転して、後ろを見た。福之助の背後にいたアニーは、びっくりして後退った。
「わ〜!」
姉さんも、目を見開いて後退った。
「おいおいおい、気持ち悪いなあ!」
「あっ、すみません。あいつら、多目的広場の方に向かってるみたいです。」
「おまえは、ろくろっ首の化け物か!」
「ろくろっくびの化け物?何ですか、それ?」


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