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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第55回   気合い縛りの術
龍次は、青年の目を注意深く追っていた。
「君、抗うつ剤を飲んでるね。」
「…はい。」
「君みたいな人が、時々来るんだよ。」
「そうなんですか・・」
「うつ病は病気じゃない。」
「…病気じゃないんですか?」
「そう。心が疲れているだけなんだよ。」
「…」
「帰れとは言わないよ。ここで、心を休ませてから帰りなさい。ゆっくりと休むと、必ず治る。」
「はい。」
「身体だけを休ませても、心は治らないよ。」
「はい。」
「リラックスして、自然と調和して働けば、この大地と緑の自然が治してくれる。」
「はい。」
「動物が怪我をしたときに穴にこもるように、治るまで、大地に引きこもっていれば、必ず治る。」
「はい!」
「治ってからのことは、改めて君が決めなさい。」
「はい。」
青年は、涙を流していた。
「われわれは、君を阻害したりはしない。安心しなさい。」
「はい。」
「ところで、伊賀十兵衛さん。あなたは、忍術の伊賀の人なのかな?」
「はい、そうです。伊賀で生まれ育ちました。先祖は、伊賀崎道順(いがのさき どうじゅん)という忍者です。」
「いがのさき どうじゅん。ほ〜〜、それは凄いや。で、君は出来るの、忍術は?」
「はい。少しは出来ます。」
「ほ〜〜、どういうの?」
「木の葉隠れ、とか。気合い縛りの術とか。」
「このはがくれ…、木の葉に隠れるやつですね。本物は見たことないけど、漫画や映画ではありますよ。あれでしょう。」
「はい。」
「きあいしばりの術って言うのは?」
「気合で、鳥などを落とす術です。」
「気合で、飛んでる鳥を落とすんですか?」
「はい。気合で鳥の動きを止めて、落とします。」
「ほ〜〜、それは面白い!無人偵察機とかは落とせますか?」
「それは、ちょっと。生物以外は無理です。」
「人間は?」
「動物や人間も、動きを止めることができます。」
「気合でですか?」
「はい、今で言う瞬間催眠みたいなものです。」
「ほ〜〜、面白い!じゃあ、病気が治ったら見せてくれませんか。」
「はい、一生懸命に治します!」
「一生懸命に治さなくっていいですよ、大地のリズムに合わせて治してください。」
「はい!」
龍次は、ニート特攻隊の隊長、鶴丸隼人に命じた。
「鶴さん、頼む!」
鶴丸隼人は、力強く返事をした。
「はい!」
隼人は、青年の目を見た。
「じゃあ、わたしたちと一緒にやりましょう。」
「はい!」
隼人と青年は、ショーケンとアキらの前を通り過ぎようとした。隼人は、慌ててショーケンの前で立ち止まった。
ショーケンに頭を下げた後、アキラに頭を下げた。
「ショーケンさん、アキラさん、はじめまして。わたし、鶴丸隼人といいます。どうぞよろしく!」
ショーケンもペコリと頭を下げた。
「よろしく。」
アキラもペコリと頭を下げた。
「よろしくぅ!」
青年も、深く頭を下げた。
「よろしくおねがいします。」
ショーケンは軽く答えた。
「よろしく。」
アキラも軽く答えた。
「よろしくぅ!」
隼人と青年は、霊宝館の方に向かって行った。
「兄貴、あいつ、兄貴のこと知らなかったみたいだねえ。」
「そうだなあ。そんなことよりも、アキラ。」
「なんだよ?」
「あいつ、うつ病だよ。」
「なんで分かんの?」
「目つきで分かるよ。」
龍次がやって来た。
「ショーケンさん、来週の日曜日に、三宝院で中秋の名月コンサートがあるんですよ。」
龍次は、ショーケンにパンフレットを渡した。


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