その日の朝、ニート調査司令部から、電話が掛かってきた。 「はい。分かりました。」姉さんは電話を切った。 隣にいたロボットの福之助が尋ねた。 「どうしたの、姉さん。」 きょん姉さんは、険しい顔になっていた。 「高野山(こうやさん)調査命令が出た。」 「高野山にまた行くの?」 「命令じゃあ、仕方ないね。」 「いつ行くの?」 「明日出発だよ。現地で地球刑事アニーに合流だって。」 「地球刑事アニー?なんですか、それは?」 「さ〜あ、何だろうね?そう言ってたよ。」 「はじめて聞く名前ですね。」 「秘密機関かもしれないね。」 「それにしても、ずいぶんと急なんですね。」 「ちょっと、買い物に行ってくるよ。」 「わたしも行きます。」 「のろまだから、いいよ。」 「そりゃあないよ〜、姉さ〜ん!」 「明日のために、自分のメンテナンスでもしときな。」 姉さんは、福之助を残して、さっさと出掛けて行った。 買い物から帰ってくると、福之助が、椅子に座って目を回していた。 きょん姉さんは、びっくりした。 「福之助、どうした!?」 福之助は、緩慢な動きで立ち上がると、ようやく声を出した。 「姉・さ・ん、ウ・イ・ル・ス・に・感染・し・た・みたい・」 「ウイ・ルス!」 「駆除・プ・ロ・グ・ラム・を、胸に・差・し込・ん・で・くだ・さ・い。」 「どこにあるの?」 「パソ・コ・ン・の上・に・あり・ま・す。」 姉さんは急いでパソコンの前に行き、探した。 「この緑色のやつ?」 「そ・う・です。それ・を・胸に・差・し・込ん・で・く・だ・さい。」 姉さんは急いで差し込んだ。 「姉さ・ん、し・ば・らく・の・あい・だ、停止・し・ま・す。」 「分かった!」 福之助は、ゆっくりと椅子に掛けなおすと、動かなくなった。胸の表示画面に、処理内容と処理時間が表示されていた。
処理内容 ウイルスチェック 処理時間 12分52秒
「まったく、人騒がせなやつだなあ。」
処理内容 ウイルスチェック 処理時間 11分18秒
「また、変なフリーソフトをダウンロードしたんだろう。馬鹿なやつだ。」
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