「わぉ〜〜!」 ログハウスの中は、豪華だった。きょん姉さんは驚いた。 「まるで別荘だわ〜!」 板張りの十二畳ほどの部屋は、エアコンがあり、流し台があり、ベッドがあった。 別の部屋があり、木製のドアがあったので、姉さんは立ち止まった。 「ここは、何ですか?」 「バスルームです。開けて見てください。」 姉さんは、ドアを開けた。 「わ〜ぁ!」 シンプルなデザインの円形のステンレス製洋風バスタブが置いてあった。 「このログハス、凄いなあ。ゴージャスだわ〜!」 姉さんの後ろで、福之助が覗いていた。 「ふ〜〜〜ん…」 「なんだよ、ふ〜〜んって?」 「人間はいいですねえ、いろいろと楽しみがあって。」 アニーは木のテーブルの、木の椅子に座っていた。 「冬になると、床暖房が入るんですよ。」 「贅沢〜〜ぅ。」 姉さんは、窓の前に歩み寄った。近くに楓(かえで)の木があり、少しだけ紅葉が、秋の彩りへと姿を変えつつあった。 「ここには、お坊さんや、お遍路さんはいないんですね。」 「ええ、ここは結界から外れていますから。お参りするところもありませんし。」 「結界ですか…、そう言えば、雰囲気が違いますねえ。」 「仕事は明日からですから、ゆっくりしましょう。」 「そうですね。じゃあ、公園内散策でもしましょうか?」 「ええ。」 アニーの表情は冴(さ)えなかった。元気がなかった。 「どうしたの、アニーさん?」 「寒気がするの。なんだか、風邪を引いたのかなあ…」 「どれどれ…」 姉さんは、アニーの横に行くと、アニーの額に手を当てた。 「大変、熱があるわ!」 「あんな格好をしてたからかしら…、わたしが悪いんだわ。自己管理能力ゼロね。」 二段ベッドがあった。上と下に布団と毛布と枕が畳んで載せてあった。 姉さんは、ベッドに行くと、下のベッドに敷布団を敷き、毛布を広げ布団を広げた。 「アニーさん、休んだほうがいいわ。」 「そうね・・」 アニーは、言われた通りに行動した。アニーは、布団の中に入り、横になった。 姉さんは、アニーに尋ねた。 「大丈夫ですか?」 「ええ、少し休んでいれば治ると思う。」 「風邪薬はあるのですか?」 「たぶん、無いんじゃないかしら。」 姉さんは、テーブルに載っている、忍者男が持ってきた大きな袋の中を調べた。 「やっぱり、無いみたい。」 福之助は、心配そうにアニーを見ていた。 「わたしが買って来ますよ、風邪薬。」 「おまえはロボットだから駄目だよ。目立つし。わたしが行ってくるよ。」 「姉さん一人で?」 「ああ、おまえは、ここに居な。」 「分かりました。」 「アニーさん、薬屋さんは何処(どこ)なの?」 「郵便局の近くのコンビニの隣。」 「分かったわ。」 「おまえ、暖ったかいコーヒーでもつくってやんな。」 「はい。」 姉さんは、福之助の目を見た。 「ちゃんと守っているんだよ。鍵をかけて、変な人を入れたら駄目だよ。戦闘モードにしておきな。」 「はい!」 「鍵言葉は、アイアンメイデン。」 「アイアンメイデン。了解!」 福之助は敬礼で答えた。きょん姉さんは、勇ましく出て行った。
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