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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第41回   ひゃひゃひゃあ〜〜!
食事が終わると、忍者は皿洗いをしてから、
「夕食分はログハウスの中です。また明日、2時ごろに来ます。」と言い残し、さっさと帰ろうとしたが、立ち止まった。
「あっ、そうだ。窓の近くに、用心のために、ハイテク案山子の吠太郎(ほえたろう)を立てておきました。」
アニーは、少し高い声で答えた。
「ハイテク案山子(かかし)の吠太郎(ほえたろう)?、何それ?」
「なんだったら見ておいてください。熊避けです、近づくと吠えます。」
「分かったわ、見とく。」
忍者は、手を振って去って行った。
アニーたちは、ログハウスの中に入る前に、裏に廻った。
ウォ〜〜〜〜!
窓のそばに、狼男の案山子(かかし)が、吠えながら目を光らせ大きく手を上げて立っていた。
姉さんは、胸を両手で押さえて驚いた。
「わ〜〜、びっくりした!」
アニーは冷静だった。
「これが、ハイテク案山子(かかし)の吠太郎(ほえたろう)ね。」
福之助は、視線を上下に動かし、静かに観察していた。
「赤外線で感知している、単純な仕組みのやつです。」
アニーが手を上げると、また吠えた。
「これで、熊が逃げて行くのかしら?」
姉さんは、しげしげと眺めた。
「誰が作ったのかしら、センス悪いわねえ〜。」
福之助は、案山子(かかし)の裏を見ていた。
「りゅうじア〜ラびっくりアイデアショップって、書いてあります。」
「名前からして、センス悪いなあ。」
「そうですねえ。」
「姉さん!」
「なによ、いきなり大きな声出して。びっくりするじゃないか。」
「保土ヶ谷龍次って書いてありますよ。」
「えっ?」
姉さんも、案山子(かかし)の裏側を覗き込んだ。
「ほんとだ。」
アニーも覗き込んだ。
「保土ヶ谷龍次!』
福之助は、姉さんを見た。
「龍次は、案山子(かかし)も売ってるんでしょうか?」
「ニート革命軍が、こんなものを?」
「はい。」
「案山子(かかし)を?」
「調べてみましょうか。」
「どうやって?」
「ここに、電話番号が書いてあります。声を聞けば分かりますよ。」
「そうだな、声を聞けば分かるな。これも仕事の内だな。」
アニーが頷(うなず)いた。
姉さんは、上着の内ポケットから、携帯電話を取り出した。電話をかけた。
五回呼び出し音の後に、龍次が出た。
『はい、保土ヶ谷龍次です。』
その声は、ニート革命軍・保土ヶ谷龍次の声ではなかった。
「すみません、間違えました。」
『ひゃひゃひゃあ〜〜!自然薯(じねんじょ)みたいな僕に電話をかけくれて、どうもありがとう。』
「やっぱり違ってたわ。」
アニーが質問した。
「何て言ってました?」
「ひゃひゃひゃあ〜〜!自然薯(じねんじょ)みたいな僕に電話をかけくれて、どうもありがとう。って言ってたわ。」
福之助は、目玉を上に向けていた。
「龍次は、ひゃひゃひゃあ〜〜!なんて言いませんよね。」
「そうだね。聞いたことないね。」
「でも、変なこと言う人だねえ。自然薯(じねんじょ)みたいな僕に、だって。」
姉さんは、ジルバのステップで踊りだした。
「じねんじょ、じねんじょ♪」
コスモスの花が風に揺れ、遠くでは、山羊たちが草を食(は)んでいた。
アニーも、首を傾げながら、ジルバのステップで踊りだした。
「じねんじょ、じねんじょ♪」
福之助も踊りだした。
「じねんじょ、じねんじょ♪」
みんなは、踊りながら歌いながら、ログハウスの中に入って行った。


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