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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第40回   焼きフランスパン
忍者の彼は、ステンレスの皿にタレを入れると、一串一串丁寧にタレをつけ、焼いていた。
「わ〜、おいしそう〜!もう、炭がはいってたんですね?」
「来て、すぐに熾(おこ)して、待ってました。」
「用意がいいんですねえ、さすが忍者!」
「すぐには焼けませんので、フランスパンでも焼いて食べててください。」
「フランスパン…、硬いから、あんまり好きじゃないんだけどなあ。」
「焼くと、ポロポリして食べやすくなるんですよ。」
「そうなの?」
「やってみれば分かります。」
「じゃあ、やってみよう!ふ〜〜ん、ちっとも知らなかった。」
「椅子の上にバッグがあります。コーヒーと紅茶が、ポットに入ってます。赤色のポットがコーヒーです。」
「赤色がコーヒーね。」
「まだ、熱いですよ。」
「じゃあ、せっかくだから、熱いうちに飲みましょう。」
「それがいいですね。」
「チタンのフタ付マグカップも入ってます。」
「はい。忍者さんも飲みます?」
「わたしは、いいです。」
「お名前は、何と言うんですか?」
「あくまでも、忍者と言うことで。」
「はい、分かりました!」
姉さんは、椅子に座っているアニーを見た。
「アニーさんは?」
「じゃあ、紅茶をください。」
「はい。」
福之助は、アニーの後ろで、ぼんやりと立っていた。黙って人間たちの行いを見ていた。
姉さんは、ポットとマグカップを取り出すと、テーブルの上に置き、紅茶をマグカップに注いだ。
「はい、アニーさん。」
「ありがとう。」
それから、自分が飲むマグカップにコーヒーを注いだ。
忍者が、煙にむせながら言った。
「少し砂糖が入ってます。足りなかったらスティックのシュガーが入ってます。」
姉さんは、一口飲んだ。
「ちょうどいいわ。」
アニーも一口飲んだ。
「ちょうどいいわ。ナイステイスト。」
福之助は、黙って人間たちの行いを見ていた。
アニーが立ち上がった。
「やっぱり、高原は寒いわねえ。」
福之助が答えた。
「現在の気温は、摂氏十五度です。」
根来一角は、アニーのミニスカートに視線を向けた。
「それじゃあ、寒いですよ。衣類などは、小屋の中にあります。」
「そのようですね。わたし、着替えてくるわ。」
高原の風は、爽やかであったが、ときどきクールな風が吹いていた。
根来一角は、肉を焼きながら風を見ていた。
「高野山は、けっこう寒いんですよ。」
「このマグカップ、いいですね。」
「二重になってるので、冷めにくく、手に持っても熱くならないんです。」
「よくできてるわ。」
バーベキューコンロは、半分空いていた。
「ここで、パンを切って焼いてください。ナイフもバッグに入ってます。」
「はい。」
パンを焼いていると、アニーが紺色のノーマルなジーンズ姿で戻ってきた。
「やっぱり、ジーンズのほうがいいわ。」
きょん姉さんは、目を見開いた。
「わ〜〜、雰囲気が、じぇんじぇん違う。」
福之助が、手を叩いた。
「なんで、手なんか叩くんだよ?」
「変ですか?」
「変だよ。」
姉さんは、パンを一口かじった。
「ほんとだ。感触も味も、じぇんじぇん違う。」
根来一角は、肉を見ながら、ときどき串を回していた。
「でしょう。」
「けっこう、時間かかるんですね。」
「もうすぐです。」
アニーは、椅子に座ると、皿の上の焼かれたフランスパンを食べ始めた。
「うん、あっさりして、いい味ね。」
忍者は、皿を持った。
「はい、できました〜〜!」
姉さんは、目を見開いて喜んだ。
「わ〜〜〜〜〜っ!」


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