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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第4回   宇宙刑事アニー
病院の救急医療室の廊下の長椅子に座って待っていると、ショーケンが出てきた。
「兄貴、早かったね。」
ショーケンが救急医療室に入ったのは、10分ほど前のことだった。
「水飲んだら、あら、治っちゃった!って行ったら、それで終わり。」
「も〜う、調子いいんだから。」
「お金払って、さっさと出るぞ。」
二人は、8千円を払って、病院を出た。
「薬もないのに、なんでこんなに高いの?」
「こんなもんだろう。」
「兄貴は、急に変なことやるからなあ〜。」
「しょうがねえだろう。猿人間の収容所に入ったら、気が狂って廃人になるんだぞ。」
「そうだね。」
「高野山(こうやさん)に着くまでは、まだ安心できねえな。」
「そうだね。」
「どうやって行こうか。」
「バスとか出てるじゃないの。」
「そうだなあ。」
「捜そう!」
「ああ。」
「あっ、あそこに交番があるよ。」
アキラは走って行こうとした。
「おまえ、どこに行くんだよ!」
「交番だよ。」
「捕まりに行くのかよ。俺たちは、指名手配されてるんだぞ。」
「あっ、そうか。」
「歩いて自分で捜すんだよ。」
「ああ、そうだね。」
「病院で聞いてくれば良かったな。」
「そうだね。」
前から小学生の女子が二人やってきた。ショーケンが、笑顔で尋ねた。
「ちょっと聞きたいんだけど。」
一人の女子が、「はい。」と答えた。
「高野山(こうやさん)行きのバス亭って、知ってる?」
「あそこのコンビニの隣の本屋さんの前にバス亭があります。そこから出てます。」
「あっ、あれね。どうもありがとう。」
バス亭には、屋根付のベンチがあった。
「兄貴、1時間に1本だよ。次のバスまで、30分。」
「そんなに待つのかよ。」
「兄貴、コンビニでなんか買ってくるよ。なにがいい。」
「俺も行くよ。」
コンビニに入ると、二人はパン類と飲み物を買った。ショーケンは紀伊半島の地図を買った。
バス停に戻り、二人はプラスチックの長椅子に座った。
アキラはコーラを開け、ショーケンは煙草を吸い始めた。
「兄貴、さすがにここはロボットが歩いてないね。」
「そうだなあ。」
アキラが飲み終わる頃に、高野山(こうやさん)駅行きのバスがやってきた。緑色のマイクロバスだった。
ゴミ箱がないので、アキラは持ってバスに乗り込んだ。
『整理券を、お取りください』のアナウンスが流れた。
二人は整理券を取った。
「何だか、久しぶりに乗ったから、戸惑うねえ。」
「俺もだよ。」
誰も乗っていなかった。二人は左側の、ほぼ真ん中の席に座った。
バスが出ようとしたときに、
「ちょっと、待ってください!」と言って、超ミニスカートの宇宙刑事アニーのような女が乗り込んできた。
彼女のファンだったアキラが、
「わ〜、アニーだ。」と、ショーケンに言った。
彼女は、服装に似合わない紙袋を下げていた。二人の前を花の香りを漂わせながら通り過ぎて、一番後ろの席に座った。
ショーケンが、
「油断するなよ。本物の刑事かも知んねえぞ。」と、小さな声で言った。




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