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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第32回   アニーのハイキック
「秋だねえ。空が高いねえ。」
「空が高い?」
山の木々の匂いのする、秋の朝の爽やかな乾いた空気のなかを、サイドワインダーは走っていた。
「空は、いつも同じ高さですよ。」
それに対する返事はなかった。
「やっぱり、風の匂いが都会とは違うねえ。」
「そうですねえ。」
「なっんだか、昨日の天気が嘘みたいだねえ。」
「そうですねえ。」
「何時だい?」
「九時半です。」
「ちょっと早いかな。」
「そうですねえ。」
慈尊院(じそんいん)の駐車場に入って行くと、茶髪の若者が右手で手招きしていた。よく見ると、昨日の忍者姿の男だった。
「こっちに、入れてください!」
屋根つきの駐車スペースに案内していた。
きょん姉さんは、言われた通りに駐車した。
サイドワインダーから降りると、若者が笑顔で話しかけてきた。
「アニーさんのところに案内します。」
姉さんは、びっくりした。
「お知り合いだったんですね。」
「ええ、まあ。部下です。」
若者は、黙って姉さんと福之助を宿坊に案内した。黙ってついて行った。
宿坊の前の庭で、アニーは赤い長めのブーツを履きミニスカートのいでたちで、シャドーキックボクシングをやっていた。
ときどき、華麗なハイキックが空を切っていた。
福之助は、思わず感激した。
「わぁお〜〜〜、かっこい〜〜!」
姉さんは、ペコリと頭を下げ挨拶した。
「はじめまして。」
アニーも、動きを止めて軽くウインクをして挨拶した。
「はじめまして。地球刑事アニーです。」
アニーの目は、少女漫画のヒロインのように、キラキラ星が光っていた。
福之助は、再び思わず感激した。
「ぅっわ〜〜〜、かわゆいぃ〜〜!」
それを見た姉さんが戒(いまし)めた。
「おまえ、なにデレデレしてんだよ。」
アニーが、福之助に近づいてきた。
「あっ、ちょうど良かったわ。」
福之助は、嬉しそうに返事をした。
「なっ、なんでしょうか?」
「それ、付けてくれない。」
アニーが軽く指差した方向には、大きな枕のようなものが二つ転がっていた。
「これですか?」
「そうよ。」
福之助は、それを拾った。
「なんだ、軽いなあ。」
「中は、発砲スチロールの粒だから。」
「で、どうするんですか?」
「輪に手を通して、肘まで入れて、しっかり持って。」
「こうですか?」
「こうやって構えて。」
アニーは、やって見せた。
「こうですね。」
「しっかり持っててよ。」
「はい。」
アニーの左回し蹴りが飛んできた。福之助の右腕の枕に当たった。続いて、右回し蹴りが飛んできて、福之助の左腕の枕に当たった。
「な〜んだ、枕じゃなくて、キックを受けるやつか。」
「だいじょうぶ?」
「だいじょうぶですよ、このくらい。これじゃあ、大の男は倒せませんよ。」
「じゃあ、次は凄いのいくわよ。」
「えぇ〜、どうぞ。」
アニーは、赤いブーツを右手で触ると、左脚で力強くハイキックを放った。
「わぉ〜〜!」
バシッと音がして、火花が飛び、福之助はアニーの純白のパンティを見ながら倒れこんだ。



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