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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第31回   王手飛車取り!
アキラが膝をついて、紋次郎を抱え起こした。紋次郎の目は、クルクルとおもちゃのように回っていた。
「駄目だ、こりゃあ。完全なるバッテリー切れ。」
ショーケンは、少し笑っていた。
「バカなやつだなあ。」
龍次が、男に命じた。
「ロボット用の充電器、持ってきてくれ。」
「はい。」
男は、奥の方に取りに行った。男は、すぐに戻ってきた。
「はい。」
アキラが手を伸ばした。
「コンセントに繋いで。」
「はい。」
そして、紋次郎の胸の端子に、プラグを差し込んだ。端子の上のランプが青く輝き点滅を始めた。
「これで、よし!」
龍次が、紋次郎の目玉を覗き込んだ。
「どのくらいかかるの。」
「完全に無くなってたから、3時間くらいかな。」
「そんなにかかるんだ。」
「まあね。」
「食事でもしてください。大したものはありませんが。」
「じゃあ、頂こうかな。なっ、兄貴。」
「ああ。」
食事が終わって、テレビを見ながらくつろいでいると、龍次が将棋盤を持ってやってきた。
「アキラさん、どう一局。」
「ああ、いいよ。手加減しないよ。」
「わたしも。」
二人は、将棋を始めた。ショーケンは、テレビを見ていた。
ショーケンは、しばらくテレビを見ていたが、面白くなさそうな顔をして消した。それから、二人の将棋を眺めにやってきた。
「情けねえ王様だなあ。」
「なにが?」
「な〜〜んだよ、そりゃあ?端っこに逃げちゃって。王様の周りを金銀で固めちゃって。臆病者の王様だなあ。こんなのありかよ〜!」
アキラは黙っていた。
「性格が出るんだよな、将棋って、はっははは。」
「うるさいよ、兄貴。」
「義経みたいに、前に出んだよ。これじゃあ、遊びにも行けねいじゃねえかよ。」
「王様は、戦争中は、遊びになんか行かないの。」
「なんだよ、この王様。こんな臆病者の王様じゃあ、歩兵も可哀想だなあ。」
「そういう問題じゃないの。将棋知らない人は黙っててよ。」
「情けねえ王様だなあ〜〜〜!」
「うるさいな〜〜。」
「こんな将棋あんのかよ〜。」
「穴熊戦法って言うの。ちゃんとした戦法なの。」
「王様が、穴熊かよ。はっははは。」
「も〜〜、うぅさいな〜。あっち、行っててよ。」
龍次は笑っていた。
「お邪魔虫みたいだから、タバコでも吸ってくるか。」
ショーケンは、玄関まで行くと、置いてある灰皿の横の椅子に座り込んだ。紋次郎は、正座をして同じ姿勢で座っていた。
龍次の声がした。
「王手飛車取り!」
アキラの声がした。
「え〜〜〜、うそ〜〜!」
ショーケンは、紋次郎を見ながら、明日のことを考えていた。



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