「ひょっとっすると、頭脳警察のスパイロボットかも知れません。追い返しましょうか。」 「スパイロボットねえ…、どんなロボットなんだい?」 「通常の新型補佐ロボットです。見た感じでは、そうです。」 アキラが出てきた。 「俺が見てきてやるよ。ロボットには詳しいんだよ、俺たち。なあ、兄貴!」 「まあな。」 男が、左手を伸ばして止めた。 「ちょっと待ってください。あそこのモニターから見れます。」指差した。 「あっ、あれね。」 アキラは、モニターのあるところまで行って、モニターを眺めた。 斜め上からのロボットの全身が映っていた。龍次やショーケンもやってきた。 「なるほど…、兄貴も、ロボットには詳しいんだ。どう思う?」 「見た目は、ただの土踏まずタイプの新型補佐ロボットだなぁ。」 「そうだね。」 「でも、胸の部分を、近くで見ないと分からないなあ。」 「そうだね。」 龍次が、ショーケンに質問した。 「胸に何か?」 「スパイロボットは、胸に催涙スプレーとか、指先にドリルとかかついているんですよ。」 「ああ、そうなの。」 アキラは、龍次の顔を見た。 「やっぱり、俺が見てくるよ。」 龍次が、アキラの肩に手を置いて止めた。 「いいです。わたしが行きます。」 「大丈夫?」 「殺害するようなものは装備されてないんでしょう?」 「まあ、そうだけど。」 「もしスパイだったら、これからの我々の行動を見せるいい機会です。」 男が、龍次を止めた。 「先生、わたしが行きます。」 「大丈夫だよ。たぶん、あの感じではスパイなんかじゃないよ。」 モニターに映し出されてロボットは、直立姿勢のまま木のように突っ立っていた。 アキラが呟(つぶや)いた。 「なんか、紋次郎に似てるなあ…、兄貴、どう思う?」 「そう言われれば、そうだなあ。」 「ご存知なんですか?」 アキラは、モニターの近くに寄って、目を凝らしていた。 「ご存知かも知れません…」 「じゃあ、一緒に行きましょう。」 アキラとショーケンは、龍次と男の後について行った。 龍次と男が、玄関に立つと、ロボットは深く頭を下げた。 「はじめまして。わたくし、紋次郎というケチなロボットでござんす。」 龍次は笑った。 「まるで時代劇だねえ。紋次郎さんね、分かりました。わたしが、ニート革命軍の保土ヶ谷龍次です。」 後からやってきたアキラが、「やっぱり、紋次郎だ!」と言って驚いた。 その声を聞いたロボットも驚いた。そして、アキラとショーケンを見た。 「あっ、おまえたち!」
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