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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第208回   小次郎が飛び回ってます!
「今の世の中は、昔と違って、ひじょ〜〜〜に厳しいのです。自分を戒めないと、幸せはやってきません。」
歩(あゆみ)の母も同感だった。
「そうですねえ。昔と違って、今の世の中は厳しくなってますねえ。」
ショーケンは、煙草を取ってライターで火をつけた。
「そういうとにきは、煙草を吸うと幸せな気分になるよ。」
「それは、気晴らしであって、幸せではありません。」
「気晴らし、そうかなあ?」
「気晴らしは、一時的な快楽です。」
「まあ、そうだけど。」
「ストレスが多いから、煙草を吸ったり酒を必要以上に飲んだりするのです。」
「まあね。」
「健康を害さない程度にしないと、病気になって、ほんとうに幸せが来なくなります。」
「龍次さんは、お医者さん?」
「いやあ、昔病気になりましてねえ。肺の病気で、三ヶ月ほど入院したことがあるんですよ。それから、健康の大切さ、生きることの大切さを知りましてね。」
「それで煙草を止めたんだ。」
「はい。吸わないと、いらいらしましたけど、止めたら以前より息切れしなくなって、健康になって元気になりました。」
「ああ〜、なるほど。」
「今では、病気に感謝してるんですよ。たぶん、病気にならなかったら、今でも不健康に生きてますよ。ほんとうの幸せを感じることもなく。」
「ほんとうの幸せ?」
「ほんとうの幸せは、こういうなんでもないことを、幸せと感じることができることです。」
「うん、それは言えてる。」
「日々の何でもないことを、幸せに感じるか、何にも感じないかが問題なんです。」
「そういうことか。」
「花や景色を見て美しいと思う気持ち。それが幸せなんですよ。お金さえあれば幸せってもんじゃあないんですよ。」
「うん、なるほどね。」
「ハイテク社会の、これからの人間は、気楽な昔の社会と違って、自分を戒めないと幸せはやってこない。そう気がついたんですよ。」
「そうかも知れないなあ…」
ショーケンは、煙草の半分を残して、煙草を灰皿に押し込んだ。
「身心共に健康でないと幸せはやってこないってことか。俺も、少し控えたほうがいいかな。」
「控えたほうがいいです。」
歩(あゆみ)が発言した。
「最初から、煙草なんて、無いと思えばいいじゃない。」
「無いと思う?」
「世の中には、煙草なんてものは無いと。」
「なあるほどね。」
龍次も感心した。
「それは、いい考えですねえ。」
壁時計が、一時前五分を指していた。
「もう一時ですか、そろそろ出ましょうか?」
みんなは、外に出た。
ショーケンが、周りを見回しながら、ぽつりと言った。
「この村も、今一つだなあ〜。」
龍次は小さく頷いた。
「そうですね。実は、この村に、モノレールを通す計画があるんですよ。」
「モノレール…」
「モノレールから眺める、きっと素晴らしいと思いますよ。」
「どこまで?」
「龍神スカイライン沿いを、高野山までです。」
「それはいいなあ〜。」
歩(あゆみ)も母親の順子も「それはいいわ!」と言った。
四人は、四輪電動自転車・龍神号に乗り込んだ。
「さて、どうやって帰りましょうか?白樺林を抜けて帰りましょうか?」
龍神号の前に、オートバイが止まった。鶴丸隼人だった。
「龍次さん、小次郎が飛び回ってます!」
「えっ、ほんと?」
「はい。」
「どうしよう?」
「自転車は危ないので、バスで帰ってください。バスなら、上空から見えないので大丈夫です。」
「そうだなあ、そうしよう。」
「自転車は、明日にでも誰かに取りにこらせます。」
「分かった。」
「この自転車は、上空から見えないに場所に置いておきます。」
「じゃあ、頼むよ。君は大丈夫かい?」
「大丈夫です。」
「君も、くれぐれも気をつけてな!」
「はい!」
四人は、バス停に歩いて向かった。四人は、バス停の小屋の中に入った。
「ここなら大丈夫、上からは見えない。」
隼人は、龍神号を屋根のある場所に隠した。
「バイクを見られたからなあ、ここにいると教えているようなもんだなあ…」
隼人は、バイクに乗ると、やって来た林道に向かって走り出した。
「来るなよ〜!」
頭脳警察の無人偵察機が上空を飛んでいた。
「やばいなあ〜、見つかったかなあ〜?」




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