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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第206回   花岡実太
集会所にヨコタンが入ってきた。準幹部の忍が、幹部のヨコタンに挨拶した。
「お帰りなさい!」
「只今!」
ヨコタンは、道路で逢った若者を見た。
「あっ、来てる来てる!」
忍が説明した。
「さっき、隼人さんが連れて来ました。」
「隼人さんは?」
「野迫川村(のせがわむら)に、オートバイで行きました。」
「野迫川村(のせがわむら)に、オートバイで?」
「龍次さんが、野迫川村(のせがわむら)に行った、と言ったら、心配して追いかけて行ったんです。龍次さんは、ショーケンさんと、ショーケンさんのファンの女性と四人で、電動四輪自転車で行きました。」
「え〜〜、電動自転車で四人で?」
「隼人さん、大丈夫だと言って、武器も持たずに行きました。」
「そうなの…」
「止めたほうが良かったでしょうか?」
「行ったものは仕方ないわねえ。隼人さんは、風魔忍術と達人だから大丈夫よ。」
「え〜〜〜、隼人さんて、風魔忍術と達人だったんですか!?」
「そうよ。知らなかったの?」
「ちっとも知りませんでした。何かの武術をやる人とは知ってましたけど。まさか忍術とは。」
「大丈夫よ、彼は頭のいい忍術使いだから。」
「ヨコタンは、彼の忍術を知っているんですか?」
「数回見たことあるわ。」
「敵と戦ってるところをですか?」
「ええ、猿狩り小次郎や、ハルと。」
「ハルと!?」
「ハルに飛び乗って、火炎瓶を投げ込んでるのを見たわ。」
「あの大きなハルにですか!?」
「ハルが爆発する寸前に飛び降りたわ。ひとつ間違えたら、きっと死んでたわ。まるで、特攻隊みたいだったわ。」
「さすが、ニート特攻隊の隊長だなあ〜。」
「だから、小次郎くらいだったら大丈夫よ。」
座っていた若者が、お腹を押さえてうずくまった。
ヨコタンはびっくりした。
「どうしたの?」
「いえ、何も…」
若者のお腹が、ぐ〜っと鳴った。
「あなた、お腹が空いてるのね。お昼は食べたの?」
「いえ、食べてません。」
ヨコタンは、彼に近寄ると、食券を渡した。
「定食の食券しかないけど、食堂に行って食べてらっしゃいよ。食堂は知ってるでしょう?」
「はい。」
「いいから、早く行きなさい。白い建物よ。」
「ありがとうございます!」
若者は急いで行こうとした。
「あっ、ちょっと待って!名前、何ていうの?」
「花岡実太(はなおかじった)です。」
「鼻をかじった?」
「花岡、実太です。」
「ああ、分かったわ。はなおか、じったさんね。」
「漢字、書きましょうか?」
ヨコタンは、ホワイトボードを指差した。
「じゃあ、そこのボードに書いて。」
若者は素早く書いた。
「花岡実太(はなおかじった)さんね。分かったわ。早く行きなさい。」
「はい!」





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