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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第200回   柔軟な思考
アキラは、まるで子供のような無邪気な表情で歩いていた。
「あ〜〜〜、お腹空いちゃったぁ!」
ヨコタンは爽やかな瞳で、爽やかに優しい姉のように答えた。
「早く我が家に帰りましょう!」
「ヨコタンって、姉さんみたいだなあ〜。」
「アキラさん、お姉さん、いたの?」
「いたけど、十年前に交通事故で死んじゃった。」
「そうなの…」
ヨコタンは、それ以上聞こうとはしなかった。
二人は、高野山テクノロジー研究所にスライダーカートを置いて、人間村に向かっていた。
「ここの人たちは、何というか普通の人たちとは、ちょっと違うね。ちょっとじゃなくって、だいぶ違うね。」
「だいぶ違うって、どういうふうに?」
「なんて言うか、心が優しいっていうか。そういう感じ。」
「そうかしら?」
「心が柔軟って言ったほうがいいかな?ピンポ〜ン♪」
「心が柔軟…、そうかなあ?」
「きっと、ここにいる人は気がつかないんだよ。絶対に、頭と心がこちこちじゃないよ。」
「ここの人たちは、意外と科学的なのよ。弘法大師が、そうだったように。とっても柔軟なの。」
「ああ、そうなの?弘法大師という人も、そうだったんだあ〜。」
「弘法大師は、ドーム型の堤防とか設計して、科学者だったんですよ。薬にも詳しかったし。今でも、弘法大師の薬が売られているんですよ。」
「え〜〜、ほんと。そりゃあ凄いや。」
「頑(かたく)なに生きてたら、頭がこちこちになって猿人間キーキーになってしまうわ。大切なのは、科学的に柔軟な思考で生きることなの。」
「こちこちは、駄目なんだ。」
「こちこちは危ないです。年を取るとボケます。」
「わ〜〜、おっかねえ〜。」
「アキラさんって、話を聞いてると、とっても合理的で柔軟だわ。どうしてかしら?何かやってます?」
「えっ、何かって?」
「頭を使うこと?」
「別に…」
「じゃあ、どうしてかしら、その柔軟な思考は?不思議だわ。」
「あ〜〜〜、やってる!」
「何を?」
「将棋!」
「あ〜〜、それで分かりました!」
「ピンポ〜〜ン♪」
「将棋の柔軟思考だったのね。納得、納得。」
「ふ〜〜ん、将棋も役に立ってるんだ〜。爺ちゃんに、ありがとうって言おう。」
「頭を使う素晴らしい趣味だわ。」
「ヨコタンは、将棋はしないの?」
「わたしは、将棋も囲碁も駄目。」
「ああ、そう。」
「でも、チェスは少しできるわ。」
「お〜〜〜、チェスね。西洋将棋だあ〜。今度教えて!」
「教えられるほど強くはないけど、いいですよ。」
「やっぱり、インテリは、将棋じゃなくって、チェスなんだあ〜。かっこいいなあ〜。」
「将棋もチェスも同じでしょう?」
「そうかなあ〜?」
「同じですよ。動きとルールが違うだけでしょう。」
「他には、どういうのがいいのかなあ〜?」
「ボケない方法のこと?」
「うん、そう。俺、ボケたくないから!」
「そうですねえ…、体を動かすことも大切だわ。」
「その他には?」
「積極的に社会参加すること、かな?」
「積極的に?」
「受身じゃ駄目だわ。脳を使わないから。」
「なあるほどね!」
「何かを積極的にすればいいのよ。趣味とかもいいんじゃない?」
「パチンコとか?」
「そんなのは駄目よ。あれは趣味じゃなくって、博打でしょう。積極的に頭なんか使わないじゃない。」
「じゃあ、どんなの?」
「俳句とか、詩とか、絵画とか。陶芸とか、大工仕事でもいいわ。」
「ああ、そういうのね。」
「とにかく、何かを自分からやってればいいのよ。農作業もいいって、誰かが言ってたわ。」
「人に命令されるんじゃなくってね。」
「そうです。受身は駄目なんです。」



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