二人は足を止めた。ロボットがやってきた。 ショーケンはアキラに電撃手投げ弾を渡すと、ロボットに向かって、手を上げた。 アキラがショーケンの背後に隠れた。 「降参、降参。」 ロボットはショーケンの前で止まった。 ショーケンは腰を落とした。後ろにいたアキラが、電撃手投げ弾をロボットに投げた。 電撃手投げ弾は、ロボットの胸に命中した。閃光と爆音がして、ロボットは後方に倒れこんだ。 「やった〜!」 「こいつは、すぐに動き出すぞ。」 二人は、深い森に向かって走り出した。道が二手(ふたて)に分かれていた。 ショーケンはアキラの頭の帽子を取り、狭いほうの道に放り投げた。 「何すんだよ〜!?」 「こっちを走ったと思わせんだよ。」 「なるほど、あったまいい〜!」 二人は、広いほうの道を走り出した。 しばらく走り、二人は息を切らしながら立ち止まって、後ろを見た。ヘリの音も聞こえなくなっていた。 「アキラ、もう大丈夫だ。」 「よかったぁ〜。」 「用心のために、スタンガンを出しとけ。」 「もう大丈夫だよ。」 「熊とかも出るぞ。」 「ぅわ、おっかねえ。」 アキラは急いで、バッグからスタンガンを出した。 ショーケンは、来た道を見ながら言った。 「戻れないしなあ。困ったなあ。」 「とにかく真っ直ぐ行こうよ。」 「山では、無闇に動くと駄目なんだよ。」 「そうなの。」 カラスの鳴き声が遠くで聞こえた。 「カラスがいるってことは、人里に近いってことだな。」 「そうなの。」 「今、どっちから聞こえた?」 「う〜〜ん、どっちだったかなあ・・」 「もう一度鳴いてくれないかなあ。」 「あにき〜〜!」アキラが急に大声を出した。 「なっんだよ〜、びっくりするじゃねえか。」 「ピンポ〜ン。いっいもの持ってんだよ。」 「何だよ。」 「携帯電話!」 そう言うと、アキラはバッグから携帯電話を取り出した。 「ナビゲーター付!使ったことないけど。」 「どれ、見せてみろ。」 ショーケンは、携帯電話を取り上げた。そして、電源を入れた。 「・・・・・、これだな。」 「あった。」 「ああ、あったよ。使えるよ。」 「わ〜〜、良かった!」 「今、何時だ?」 アキラは腕時計を見た。 「ちょうど、12時。」 ショーケンは、木の影を見た。指を刺しながら、 「じゃあ、こっちが北だな。」と言った。 「なんで分かんの。」 「太陽は、いつも南にあんだよ。」 「ふ〜〜ん。」 「こっちに行けば道路があるな。」 「どのくらい。」 「2キロ・・かな。」 「けっこうあるねえ。」 「まあな。」 「高野山(こうやさん)まで行けば大丈夫だね。」 「ああ。」 「何見てんの?」 「なんだか、この携帯いろんなのが入ってるなあ。」 「あっそう。」 「似顔絵写真って、なんだこりゃあ?」 「あっ、それはね。写真が勝手に似顔絵になるの。」 「ふ〜〜ん。馬鹿が喜びそうな機能だなあ。」 「馬鹿多いからね。」 「まあな。」 「世の中は、馬鹿で儲かってんだね。」 「そうだよ。」 二人は道路に向かって歩き出した。 「行くぞ。」 「あいよ。」 一時間ほどで、道路に辿り着いた。パトカーが、赤色回転灯を点灯させながら止まっていた。
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