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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第184回   ごまとうふ
アニーは、ごまとうふ森下商店ののぼりを見ていた。
「ごまとうふでも食べましょうか。」
きょん姉さんは喜んだ。
「それはいいですねえ。」
姉さんは、早速に店の中に入り店員さんに尋ねた。
「ごまとうふはどこで食べられるんですか?」
「すみません。うちでは土産物として販売しているだけなんですよ。」
「なぁ〜〜んだ、がっかり!」
姉さんは小声で「ケチ!」と言いながら戻ってきた。
「売ってるだけなんですって!」
「そうなんですか。」
姉さんは、周りを見た。
「あっ、あそこにあるわ。ごまとうふ喫茶・天狗庵が。」
「ああ、しゃれててよさそうですね。」
「行きましょう!」
二人はごまとうふ喫茶・天狗庵に入った。
「うわ〜〜ぁ、ごまとうふのスィーツもあるんだ?」
「先ずは、普通のを食しましょう。」
「そうですね。」
二人は、普通のを注文した。すぐに出てきた。
「これが、ごまとうふか…」
姉さんは、食べる前にしげしげと眺めていた。初めての物を食べるときのクセだった。
「では、頂きます!」
アニーが食べる前に手を合わせていたので、姉さんも慌てて真似をして手を合わせた。
「あれっ?」
「どうしたんですか?」
「これ、豆腐じゃない。じぇんじぇん違う。超おいしい〜〜ぃ、何これ!?」
アニーは笑っていた。
「そうなんですよ。高野山のごまとうふは豆腐じゃないんですよ。だから、ひらがなで、とうふと書いてあるんですよ。」
「えっ?」
「普通の豆腐のように大豆では作ってありません。」
「えっ?」
「あまりにも豆腐のようだったので、とうふという名前になったそうです。」
「じゃあ、これは、いったい何で作ってあるんですか、とっても不思議な味だわ〜?」
「白ごまと吉野葛(よしのくず)で、深山から湧き出る岩清水で丹念に練り上げて作ってあるんですよ。」
「吉野葛(よしのくず)って、葛餅(くずもち)の葛(くず)ですよね?」
「はい、そうです。」
「道理で、餅っぽい食感だわ。」
「吉野葛(よしのくず)は、おいしことで有名なんですよ。」
「そうなんですか。ところで、葛(くず)って何なんですか?」
「豆科の植物です。」
「植物かぁ…」
「その植物が、お餅になるんですか?」
「お餅になるのは、葛(くず)の根です。」
「根?」
「根を水にさらしてアクを取ってから砕いて粉にするんです。」
「粉に?」
「葛粉(くずこ)にするんですよ。」
「あ〜〜ぁ、それを、お餅にするんですね!」
「そうです。」
「根ですか!知らなかったなぁ〜〜!」
姉さんはアニーを感心して見ていた。アニーは姉さんを微笑んで見ていた。
姉さんの携帯電話が鳴った。
「はい、葛城(かつらぎ)です!」
あけみさんからの電話だった。
「ああそうですか。分かりました!」
アニーが尋ねた。
「何かあったんですか?」
「昨日話していたアケミさんなんですけど、来なくても良くなったそうです。」
「えっ、どうしてですか?」
「ロボットの持ち主が了解したとかで。」
「ふ〜〜〜ん、そうなんですか?」
高野山の拡声器からアナウンスが流れた。
『猿人間キーキーは、無事に確保されました。高野山に平安が戻ってきました。皆さん安心して生活してください。』
姉さんは眉をひそめた。
「なんだよ〜、確保してからアナウンスするなよ〜!」
「おそらく、高野山の観光客を不愉快にさせないための配慮ですわ。」
「ガソリン猿人とか、猿人間キーキーとか、とにかく猿は嫌いだよ!」
「私も、大嫌い!」
「食べたら、いちど基地に帰りましょか?」
「もう帰るんですか?」
「なんだか、福之助が心配になってきちゃって。」
「そうですねえ。」




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