彼らの電動四輪自転車は、本通りの裏の通りを、ゆっくり走っていた。 アキラが本通りに出ている看板を見つけた。 「あれっ、高野山にもコンビニあんだ。」 龍次が返事した。 「ありますよ。一件だけですけど。」 「ちょっと、買いに行ってもいいかな〜?」 「ああ、いいですよ。」 ショーケンは、上着の内ポケットに手を伸ばしてた。 「何、買いに行くんだよ。」 「いつも読む月刊誌。」 「じゃあ、タバコも買ってきてくれよ。」 「あいよ。」 アキラは、降りると駆けて行った。角を曲がると、すぐにコンビニはあった。高野山風の木造のコンビニだった。 自動ドアが開いて入ろうとしたら、偏平足タイプのロボットが立っていた。ロボットは、アキラの顔を見ると、 「どうもありがとうございます。」と言い、ペコリと頭を下げ、出てきた。 アキラは驚いた。 「なんで、ありがとうなのかな?」 どこかで見たようなロボットだった。 「赤外線のドアスイッチは、ロボットに反応しないんですよ。」 「セキガイセン?ロボットじゃ開かないってこと?」 「そうなんです。」 「別に、礼なんていいよ。偶然じゃん。」 「はい。」 そう言うと、ロボットは立ち去ろうとした。 「ちょっと待った!」 ロボットは振り向いた。「なんでしょうか?」 「どっかで逢ったよね。」 「そうですか?…ちょっと待ってください。」ロボットは、八秒ほど不動のまま無口になった。「ああ、逢いました。」 「遅いね〜。で、どこだっけ?」 「夏の花火大会のときに逢いました。」 「ああ、そうだそうだ!」 「偶然ですね。」 「偶然だねえ。こんなとこで何してるの?ひょっとしてリストラ?」 「リストラ、ではありません。」 「まあ、いいや。名前だけ教えてよ。俺、アキラ。」 「福之助です。」 「ふくのすけね。いい名前じゃん。」 「ありがとうございます。急ぎますので。」 「あっ、俺もだ。」 アキラは急いで、コンビニの中に入って行った。
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