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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第164回   一人はみんなの為に みんなは一人の為に
まさとは、リアカーに真由美ちゃんを乗せて、家に向かっていた。その後方を、ヨコタンとアキラが歩いていた。
「高野山の米って、凄くおいしいねえ。あんなおいしいの初めてだよ。ご飯が、あんなにおいしいなんて、びっくりしたよ〜。」
「農薬を使ってないの。それに、電気じゃなくって、かまどで薪(まき)で炊いてるの。」
「かまど?」
「かまど、知らないの?」
「どんなんだっけ?」
「鍋や釜をかけ、下から火をたいて煮たきするものよ。見たこと無いの?」
「あ〜〜〜、あるあるある!テレビで見た。」
「俺ってさあ〜、馬鹿なんだけどさ〜、なんとなく分かってきたよ〜。」
「えっ、何が?」
「ここの人達の考えというか、保土ヶ谷龍次の考えが。」
「えっ?」
「一人はみんなの為に、みんなは一人の為に。ってあるじゃん。あれだな。」
「あ〜〜、そうかもね。」
「ピンポ〜〜〜ン!」
「アキラさんって、馬鹿じゃないわよ。そんなことに気付くんだもの。それに、ほんとうに馬鹿な人は、自分で自分のことを馬鹿とは絶対に言わないわ。逆に馬鹿さを隠そうとして利口ぶるわ。」
「そ〜〜お。」
「論理的でない人に限って、論理を口にするの。思いやりのない人に限って、思いやりを口にするの。」
「そうなんだ。」
「きっと、エジソンみたいに右脳が優れているのよ。」
「エジソンと同じ、俺が?」
「エジソンは、歴史とか暗記するものが、まったく駄目だったらしいわよ。」
「へ〜〜〜ぇ。」
「本人に言わせると、根拠のないものは覚えられないとかだったらしいけど。」
「そ〜りゃあ、そうだなあ。実際に見たわけじゃないしな〜。さすがエジソン!賛成!」
「アキラさんもそうだったの?」
「まあ、そうかもね。証拠があんのかよ〜〜って感じだったね。」
「ふふふ、やっぱり。」
「やっぱりって?」
「不良って、みんなそういう感じね。」
「俺、不良じゃないよ!」
「ごめん、ごめん!」
「いいよ。少しは不良だっかから。で?」
「不良の子は、親が不良の場合が多いの。」
「そうかもな…」
「で、そういう子は、親に対して拒否するようになるの。」
「拒否?」
「小さい頃から、親の言うことを信じなくなるの。」
「なるほどぉ。」
「それで、親や権威に対して、素直に覚えようとしなくなるのよ。無意識にね。」
「それ、言えてるかもね。」
「で、思考が想像力に行っちゃうわけ。」
「分かった!自分の世界を勝手に作っちゃうわけね。」
「そういうこと。」
「さ〜〜すがインテリ!いままでの自分のことが、良く分かったよ〜!」
アキラは感心して、ヨコタンの顔を見た。
「あんたはいいよな〜〜。」
「えっ、何が?」
「美人だし、頭はいいし。」
「でも、みんがいるから私があるのよ。だから、みんなに感謝してるの。」
「え〜〜、どういうこと?」
「私が一人で頑張っても駄目だってこと。人は、みんなのなかで育つのよ。」
「どんな天才も?」
「そう、一人では天才にはなれないわ。親とか先生とか友人とか、周りの人々がいて育つのよ。」
「なるほどねえ。」
「アキラさんは、勉強よりも遊ぶのが好きだったのかな?」
「まあね。」
「それも才能だわ。」
「そうかなあ?」
「だって、親が遊びを教えたんじゃないんでしょう?」
「勿論だよ。自分で考えて遊ぶんだよ。」
「遊ぶには、柔軟な心と知恵が必要だわ。他人に対する思いやりもね。」
「なぁるほどねぇ。」
「柔軟な心は、遊びから育つの。」
「なあるほどねぇ。」
「だから、小さい頃に他人と遊んでないインテリは、感情の鈍い人が多いのよ。」
「あ〜〜、大人で自己中心の子供みたいな奴ね。」
「それに、人間は遊び心がないと病気になるわ。うつ病とか。」
「俺は、勉強なんかしないで、外で遊んでばっかいたからなあ〜。テレビもよく観てたけど。」
「テレビだって、いろんなことを教えてくれたでしょう?」
「まあ、そうだなあ。」
「だから、人間はどんなに頑張っても一人では生きていけないの。」
「な〜〜るほどね。さっすが、やっぱりあんたはインテリだなあ〜!言うことが決まってるよ〜!」
「私は、インテリなんかじゃないわよ。」
「インテリだよ。今まで逢ったなかで最高のインテリだよ〜〜!」
アキラは、笑顔でヨコタンを見た。ヨコタンは、アキラに微笑を返した。
「あっ、着いたわ。」
まさとは、伊集院と書いてある家の前でリアカーを止めた。真由美を降ろした。真由美は家のなかに入って行った。
「ただいま〜〜!」
まさとは、リアカーを家の脇に止めると、プリンターを持って家のなかに入って行った。
「アキラさん、ちょっと待ってて。」
「あいよ。どのくらい?」
「すぐに終わるわ。五分くらいかな?」
「あいよ、分かった!」
ヨコタンも、家のなかに入って行った。



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