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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第154回   高野山のスライダー六天狗道
真由美は踊るのを、ぴたっと止めて、龍次に質問した。
「高野山カートって、二人乗れるんですか?お兄ちゃんと?」
龍次は優しく答えた。
「乗れるよ。二人乗りだよ。第二作業所にあるから見せてあげよう。」
「えっ、ほうと。」
龍次は、ショーケンに尋ねた。
「ショーケンさんも見ます?」
「見たいですねえ。」
「こっちです。」
龍次は歩き出した。第二作業所は、作業所の奥にあった。龍次がドアを開けて入って行くと、真由美も、まさともショーケンも入って行った。
窓明かりだけでは少し暗かったので、龍次は電灯を点けた。部屋の中ほどまで進むと指差した。
「これです。」
真由美が、一番にやってきた。
「わ〜〜〜、かっこいい〜!」
「かっこいいでしょう。」
「触ってもいいかしら?」
「いいよ。」
真由美は触った。
「わ〜〜〜!」
「ほら、座席が二つあるだろう。」
「ほんとだ。これなら、お兄ちゃんと乗れるね。」
「乗れるさ。」
「わ〜〜〜、早く乗りたいなあ〜!」
「乗ってごらん。」
「乗っていいの?」
「乗っていいよ。」
真由美は左側のハンドルのない席に乗り込んだ。」
「わ〜〜〜ぁ!これで降りていくのね。」
「登っても行くんだよ。」
「わ〜〜〜ぁ。なんてことでしょう!」
真由美は後ろを見た。
「どうして左側は何にもないの?」
カートは、右側にバッテリーとモーターと制御装置が搭載されていて膨らんでいた。左側は物を積めるようにくぼんでいた。
「真由美の座席を上げると、自転車が積めるんだよ。」
「ふ〜〜〜ん。」
「ちょっと降りてごらん。」
真由美が降りると、龍次は左側の椅子を持ち上げた。カチャっと音がした。
「ほらね。ここに乗せられるだろう。」
「じゃあ、お兄ちゃんの自転車も乗せられるんだあ〜。」
「そうだよ。」
「登ってくるときは、楽でいいね。」
「これで、高野山スライダー族も喜ぶぞ。」
ショーケンが質問した。
「高野山スライダー族って何ですか?」
「高野山から、マウンテンバイクで山野を駆け下りていく高野山ライダーのことです。」
「あ〜、そういうのがいるんだ。」
「高野山は、スライダー族のメッカなんですよ。」
「スライダー族のメッカ?」
「高野山には、それぞれに変化と富んでいる地・水・火・風・空・識という走り道があって、走り方も異なり色々と楽しめるんです。」
「ちーすい…、何ですか、それ?」
「地の天狗道・水の天狗道・火の天狗道・風の天狗道・空の天狗道・識の天狗道です。これを、高野山のスライダー六天狗道といいます。ちなみに、空の天狗道は龍神スカイラインのことです。」
「高野山には、いろんなものがあるんだなあ。さすが、世界遺産の高野山だ。」
「森を見ながら、森の風をうけながら野山を駆け下りるのは、気持ちよくって、精神的にも、足腰の筋力やのバランス感覚を養うのにも、とってもいいんですよ。」
「今、それ流行ってるんですか?」
「はい。とっても流行ってます。きっと、不健康な現代社会に気が付いたんでしょうね。利口な人達ですね。」
「いいことですね。」
「そうですね。」
まさとは、感心した様子でカートを見ていた。龍次が促した。
「ちょっと乗ってみない。動くよ。」
「えっ、いいんですか?」
「いいよ。真由美ちゃんも一緒に乗ってごらん。」
「わ〜〜、これ動くの〜!」
真由美は急いで喜んで乗り込んだ。まさとはハンドルの付いている右側の席に乗り込んだ。
「右側のを踏めばいいんですか?」
「そう。右側がアクセル、左側がブレーキ。ゆっくり踏んでね。」
「はい。」
モーター音がすると、カートはゆっくりと動き出した。
真由美が喜んだ。
「わ〜〜〜ぁ、動いた〜!」
龍次が言った。
「外に出て行っていいよ。」
カートは外に出て行った。




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