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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第153回   高野山ジーンズ
まさとは集会所の脇にリアカーを止めた。集会所の前には村人が集まっていた。真由美はリアカーに乗っていた。
「お兄ちゃん、何かやってるよ。」
「何だろうな?」
まさとは、真由美をリアカーから降ろすと、手を繋いで列の後ろに回った。
昨日のショーケンがいた。真由美ちゃんは喜んだ。
「あら、ショーケンさんだわ!」
ショーケンも気が付いた。
「おっ、真由美ちゃん。」
まさとが頭を下げて挨拶をした。
「昨日は、どうもありがとうございました!」
「ああ、大したことはないよ。俺がやったわけじゃないから。」
「真由美も母も喜んでました。歌まで歌っていただいてありがとうございました。」
「いつでも行くから、またリクエストしてよ。」
真由美ちゃんが喜んだ。
「わ〜〜〜、嬉しい〜ぃ!」
まさとが叱った。
「真由美!」
列の前では、眼鏡目をかけた一休さんが喋っていた。
「あと一人です。誰かいませんか?」
「はい!」
ショーケンの前の女性が手をあげた。
「これで五人です。前に出てきてください。研究開発チームの五人も出てきてください。」
アキラも出て行った。ショーケンは呟いた。
「物好きなやつだなあ。」
全員並んだ。その中に、クリスタル・ヨコタンもいた。
「あれ〜、彼女もいるんだ。あ〜〜、俺も行けばよかった。」
真由美ちゃんが、下からショーケンの顔を覗きこんだ。
「どうしたの?」
「うん、なんでもない。」
ヨコタンは、両サイドに南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)と刺繍してあるカーキ色の高野山ジーンズをはいていた。
「あのジーンズ、かっこいいなあ〜。」
「何がかっこいいの?」
「うん…」
ショーケンは真由美ちゃんを持ち上げた。
「昨日のおねえさんがはいているやつだよ。」
「ほんとだ〜、かっこいい〜〜。」
ショーケンは真由美ちゃんを降ろした。
「真由美ちゃん、重いなあ〜。」
「そうかしら?」
龍次が出てきた。
「残りの皆さんには、試し走行の間、高野山内の交通整理をやってもらいます。各自、食事が終わったら、高野山警察前の広場に八時に集合してください。試し走行は九時から始まります。では解散します。」
みんなは、それぞれに散って行った。
ショーケンがヨコタン達を見ながら突っ立っていると、龍次がやって来た。
「ショーケンさんは、交通整理はいいですよ。今日はゆっくりと休んでください。」
「やってもいいですよ。」
「あれだけいれば多いくらいです。大丈夫です。」
「そうですか。じゃあゆっくりと休ませていただきます。」
ヨコタンとアキラ達は、集会所に向かっていた。
真由美が龍次に挨拶した。
「保土ヶ谷さん、おはようございます。」
ペコリと頭を下げた。
「おはよ〜〜〜!」
まさとも頭をペコリと下げた。
「おはようございます。昨日はどうもありがとうございます。」
「おはよう。パソコン、ちゃんと動いてますか?」
「はい。ちゃんと動いてます。」
「それはよかった。分からないことがあったら、遠慮なく私に、じゃなくってヨコタンに尋ねてください。」
「あっ、昨日の方ですね。」
「そうです。携帯の番号知ってますか?」
「はい。名刺をもらいました。それに書いてありました。」
「ああ、そう。」
真由美が、龍次に質問した。
「保土ヶ谷さん、今の何だったの?」
「今のはねえ、今日カートに乗る人を決めてたんだよ。」
「あ〜〜、そうなの。誰でも乗れるの?」
「誰でもじゃ駄目なんだよ。試験だから、ここの村の人だけなんだよ。来週からは誰でも乗れるよ。」
「な〜んだ。」
「乗りたいの?」
「ううん、お兄ちゃんが乗りたがってたの。」
龍次が、まさとを見た。
「今日は、残念ながら関係者以外は乗れないんですよ。」
「ああ、いいんです。もし乗れたらなあ〜と思って。」
「来週の開通日に、私の乗りますので、みんなで乗りに行きましょう。」
「あの〜〜、料金はいくらなんでしょうか?」
「わたしが払います。」
「えっ?」
「いいんですよ。待ちに待った、おめでたい開通日ですからね。」
真由美が喜んだ。
「お兄ちゃん、良かったね〜〜!」
龍次が真由美の頭を撫でた。
「真由美ちゃんも一緒だよ。」
「わたしも乗れるの〜?」
「もちろんだよ。」
「わ〜〜〜、嬉しい〜〜!」
真由美は跳ねて踊り出した。
「高野山スカート、高野山スカート♪」
まさとが言った。
「高野山スカートじゃなくって、高野山カート。」
真由美は、即座に訂正した。
「高野山カート、高野山カート♪」


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