壁画の隣には、鉄筋二階の大きな建物があった。 「あれは、学校だな。」 「花園中学校って、書いてあります。」 学校を通り過ぎると、三メートルほどのガメラとラドンが立っていた。それは、立派なバスの待合所であった。 「この村は。恐竜の村か?」 「そういう感じですね。恐竜ランド行きって、書いてありましたよ。」 「恐竜ランド?遊園地かな?」 「さ〜あ?」 「とにかく行ってみよう。どうせ行き先は、こっち方面だから。」 「そうですね。」 道の左右には、いちょうの木や桜の木が植えられていた。 「綺麗な林道だねえ。お金が掛かってるねえ。」 「そうですねえ。」 左は<恐竜ランド>二キロ、右は高野山(こうやさん)十キロと示されてあった。 「姉さん、看板です。」 「まだ時間あるかな。」 「4時です。」 「ょっと。恐竜ランドというものを覗いてみるか。」 「そうですね、燃料は水ですから、そこらへんの川から汲めば大丈夫です。」 「そうだな。」 恐竜ランドの前には、十メートルほどの巨大な恐竜が入り口を睨んで立っていた。 「わっあ、今にも動き出しそうだな〜!」 「フタログンコサウルス。全長役三十二メートル、頭までの高さ十三メートル、体重約七十トンと推定される。って、書いてあります。」 「ふ〜〜〜ん。向こうにも、たくさん立ってるねえ〜。」 「動く恐竜のテーマパークって、書いてあります。」 遠くの方で、恐竜の鳴き声らしいものが、轟(とどろ)いていた。 「こりゃあ、恐竜の遊園地だな。」 「そうですね。でも、あんまり人がいませんね。」 「こんな寂しいとこ、誰も来ないだろう。」
9:00〜17:00 観覧料金 600円 休館日 10月〜2月の水曜日(祝日を除く) *3月〜9月は無休
料金所の中で、茶髪のお姉さんが携帯電話をしていた。 福之助が姉さんに尋ねた。 「入りますか?」 「今日は時間がないから、また来よう。」 「はい。」 恐竜ランドの大きな看板の下に、
林業山村活性化林業構造改善事業 森林体験交流施設
と、書いてあった。 「姉さん。政府の補助金でやってるんですね。」 「ろうね。そういう感じだよ。」 「こんなとこに、人が来るんですかねえ?」 「竜神スカイラインだから、恐竜ランド。いかにもって発想だな。」 「でも、どうして花園村にあるんでしょう。近くに竜神村ってのがあるのに。」 「ああ、そうなの。」
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