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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第126回   甘くてバカうま!
「誰からだったの?お客さん?」
「そう。」
「案山子(かかし)の?」
「そう。」
「けっこう売れてるんだ?」
「まあね。」
「レンタル畑にさあ。」
「何?」
「レンタル畑に、バーベキューがあるといいんじゃない?」
「バーベキュー?」
「肉と、とりたての新鮮な野菜を一緒に焼けば、きっと美味しいわ。みんな喜ぶわ。」
「なあるほどねぇ。」
「だから、どこかにバーベキュー・エリアを作ればいいのよ。」
「いいね、それ。」
「でしょう。それに、とても健康的だわ。」
「さすが、蝶子ちゃん。」
「いいアイデアでしょう。」
「いいねえ〜。なあるほど〜。」
龍次は、腕を組んで考え始めた。
「バーベキューかあ…、そう言えば。」
「どうしたの?」
「昨日、事務所でねえ。」
「どうしたの?」
「久しぶりに皆でステーキ食べようということで、食材を持ち寄りビルの外階段の踊り場でパーティを開くことに決まってね。」
「それで?」
「豆炭に燃料を吹きかけ、さぁー、シュポッとライターで点火だぁー、とみんなの顔がきらきらした時…」
「どうしたの?」
龍次は誰かの物まねを始めた。
『君たち、ここで屋外パーティは禁止されているよ!』
「誰?」
「ビルの管理人。」
「あ〜らあら。それで中止?」
「中止は悔しいから、変更。」
「変更?」
「フライドチキンを誰かが買いに走ったの。」
「フライドチキン。」
「焼こうと思ってたトウモロコシを、皮つきのままレンジでチンしたんだよ。」
「窮余の策か。」
「そういうこと。」
「そのままチンしたの?」
「そのままだよ。皮つきのまま。」
「塩水に浸してから、チンすると美味しいのよ。」
「あ〜、そうか。なるほどぉ。」
「で、おいしかった?」
「千葉県冨里産だったらしいが、甘くてバカうま!」
「そ〜お。」
「全員の機嫌が治ったよ。」
「ちゃ〜〜んと、確認してからやらなきゃ。」
「そうなんだよなあ。」
「インテリは、そこが弱点ね。」
「えっ、どういうこと?」
「遠くばっかり見て、足元を見ない。」
「なあるほど。蝶子ちゃんは、ときどきいいことを言うねえ。」
「ときどき?」
「いやっ、失言。失礼!」
「まあ、いいわ。その通り。」
龍次は、思い出したように携帯電話を取り出した。
「これ見て。」
写真を見せた。蝶子は覗き込んだ。
「何、これ?」
「自宅に持ち帰るはめになったステーキ!」
「あ〜〜〜あ、あ!」
「暇だと、こういうことやっちゃうんだよなあ。」
「暇なの?」
「まあね。最近、仕事が減っちゃってるよ。」
「どこも同じなのねえ。」
「いや〜〜ぁ、今日は実に色んなことがあったなあ〜。」
「そうなの?」
「大菩薩で新赤軍に遭遇するし。」
「え〜〜〜、新赤軍に遭遇したの〜!?」



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