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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第117回   ボーナム・ドラミング
きょん姉さんは、きょとんとしていた。改めて尋ねた。
「何かあったんですか?」
管理人と称する者は、管理人らしく答えた。
「暴動が起きているんですよ。詳しくはテレビを見てください。今やってます。」
「はい!」
「福之助、テレビを点けて!」
福之助は「はい。」と言って、テレビを点けた。
管理人が福之助を見た。
「ロボットが、一体いるんですね。」
姉さんが答えた。
「はい、そうです。」
「何かあったら、赤電話で連絡してください。これです。」
管理人は、ドアの隣の木箱を指差した。
「この中に入ってます。」
開けてみせた。
「電話の下にあるボタンは緊急用のボタンです。これを押すと誰かがやってきます。」
姉さんは、睨んで確認するように見た。
「分かりました。」
「何か疑問などがありましたら、この電話を使ってもいいですよ。」
「はい。分かりました。」
「それでは、気をつけてください。」
「はい。わざわざありがとうございます。」
管理人は、軽く会釈をすると去って行った。
テレビでは、大阪駅が燃え、近くの交番が暴徒によって襲撃されている様子が放映されていた。
「何、これ?」
アニーもベッドから身を乗り出して見ていた。
「暴動だわ。」
テレビでは、新宿駅が燃え、電車が燃えていた。
姉さんは驚いた。
「新宿駅が燃えてるわ。何が起きてるの!?」
新宿駅は、まるで龍が天に昇るように赤く染まって燃えていた。
頭脳警察の巨大な最強治安ロボット・ハルが鋭い金属音で唸りながら、理性を失い欲望の猿と化した暴徒たちを追っていた。
姉さんは、テレビに向かって声を発した。
「ハルだわ!」
福之助も、思い出したように声を発した。
「ハルだ!」
ハルの発する超低音ドラミングは、レッド・ツェッペリンの移民の歌だった。超低音ドラミングで、暴徒たちは平衡感覚を失いよろけていた。
姉さんは、夏の出来事を思い出していた。
「移民の歌だわ!ボーナム・ドラミングだわ!」
アニーが姉さんに尋ねた。
「何ですか、それ?」
「あれを、あの音をあびると、内耳の平行感覚がやられるの。立っていられなくなるのよ。」
「経験したんですか?」
「ええ、凄かったわ。まったく立っていられなくなるの。」
アニーは、テレビに映り出されているハルを、食い入るように見ていた。
「あれが、ボーナム・ドラミング…」
突然、天軸山(てんじくさん)の方向からアナウンスが流れた。

 < 高野山上空内に許可なく入れば 直ちにミサイルで撃ち落とす! >


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