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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第115回   自ずと
蝶子はパソコンに向かった。
「そうだ。インターネットの辞書で調べようっと。」
「あっ、それがいいね。」
「なんだっけ?」
「自(おの)ずと…」
「おのずと…」
「自分の自って書くんだよ。」
「あら、変換したら、自って出たわ。ってことは、自(じ)ずとってこと?ますます分かんないや。」
「調べたら分かるよ。」
「でました〜〜〜!ひとりでに。自然に。」
「そうだよ〜。」
「そういうことか。でも、どうして自って書くんだろうね?」
「つまり、自然の自だよ。」
「なるほどぉ。」
「分かってくれて、良かった!」
「さっきの、レンタル畑だっけ?」
「そう、レンタル畑。」
「誰もやってないの?」
「田舎の農家に行くとやってるよ。でも、遠いんだよ。歩いて気楽に行ける距離じゃないんだよ。」
「ああ、そうだね。ちょっとおっくうだね。」
「人間ってねえ、はじめは元気でも、だんだんと続かなくなるんだよ。田舎に憧れて行っても、一週間くらいすると都会の便利さに戻りたくなるだろう、あれと同じだよ。」
「そ〜うだね。それはあるね。」
「で、近所の農園って発想になったわけよ。」
「ちゃんと、先を読んでいるんだ。」
「そういうこと。」
「どこにあるの?」
「僕ん家の近くだよ。」
「その畑って、なんにもしてないの?」
「どういうこと?」
「雑草とかさ。」
「草刈りはしてあるよ。」
「石ころとかあるでしょう?」
「それはやってない。」
「どうして?」
「そこがいいとこなんだよ。土作りから始めて、畑ができた時の感動があるんだよ。」
「そうなのかなあ?」
「都会の人はね、全てが未経験だから、そういうことを喜ぶんだよ。」
「で、石コロはどけないことにしたんだ?」
「そういうこと。」
「身体を使って、いい汗流して、いいかもね。」
「本格的に農作業やってるわけじゃないから、汗なんか流さないよ。」
「そっか。」
「やってみたいの?」
「近所のおじさんがね。小さい頃は農家でね、思い出したように畑でもやってみたいなあ〜って言ってたんだ。」
「そういう人もいるんだねえ。」
「これからは、年寄りが増えるからいいと思うわ。」
「そうなんだよ。」
「老人も健康になって、医療費も削減できるわ。」
「なかなか勉強してるじゃん!」
「どんなに忙しくても、ニュースだけは見てるわ。」
「ニュースだけは見てたほうがいいよ。世の中、どんどん変わっているから。」
「そうなんだよね。」
「蝶子ちゃんも、ちゃんとニュースを見てるんだ。安心したよ。」
「ニュースだけは、ちゃんと見てる。」
「よかった。」
「レンタル畑は名案だわ。きっと、大臣から表彰されるわ。」
「え〜〜?」
「だって、世の中を助けているんだもん。」
「そういうつもりでやってるんじゃないんだけどね。」
「どんどんやったらいいわ。」
「どんどんやるよ。」
蝶子は、龍次のパソコンを覗いた。
「早く、自転車を検索してよ。」
「あっ、そうか。」


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