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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第113回   迷惑こそ我らが快感
ガソリン猿人集団・猿楽は、信長の紀州攻めで有名な、根来街道の途中の風吹峠(かざふきとうげ)を越え、聖地高野山に向かって爆走していた。
クルマには御旗がはためいていた。

 迷惑こそ我らが快感

誰かが大声で叫んだ。
「高野山に逃げれば、こっちのものだ!」
上空から頭脳警察の治安用攻撃ヘリ・猿狩り小次郎が、サーチライトを照射しながら追跡していた。

< 社会に迷惑をかける人間のクズは 直ちに回収されます! 止まりなさい! >

彼らは、時折からかうように猿のように身を乗り出し手を振っていた。
「きゃっほ〜〜!こっちまでおいで〜!アホ〜〜!」
猿狩り小次郎から閃光と鋭い発射音と共に、目くらみミサイルが放たれた。
ミサイルは彼らの前方で破裂して強烈な光りを放った。目のくらんだ猿たちの暴走車はガードレールにぶつかり、コントロールを失って横転し炎上した。数台はかろうじて走り抜けた。
彼らは、風吹トンネルの中に吸い込まれるように消えていった。
ヘリは風吹トンネルの手前上空で、青白い月に向かって科学の真っ赤なロケット逆噴射で、空気を蹴ってキックバックした。
ヘリから、一体のハンターロボット・ムサシが猿たちを捕獲するために降りてきた。
炎上しているクルマから、怪我をしながらも必死で逃げた猿たちは、ロボットを見ると逃走を開始した。
「やばい、逃げろ!」
道路に降り立ったハンターロボット・ムサシの足は速かった。猿に追いつくと、高電圧の右手で次々に背中タッチを始めた。電撃をくらった猿たちは、髪の毛を逆立て青白く放電させながら、次から次に倒れこんだ。タッチの合計は五回だった。
パトカーが、赤色灯を回転させサイレンを鳴らしながらやってくると、ハンターロボット・ムサシは上昇し、月の下に浮かぶヘリに向かって返って行った。
風吹峠(かざふきとうげ)に、枯れ始めた木の葉を撫でながら、いつものように爽やかな初秋の風が吹いていた。


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