「さあ、皆さん。村に帰りましょう。」 公園に集まってる百人近くの者はニート革命軍で、他の者は近くに住んでいる者であった。 ニート革命軍以外の人々はいなくなった。 公園には、荷台のついた四輪の電動自転車が二台、半電動リアカーが五台あった。 「ショーケンさんに、おもてなしをしたいので、是非わたしたちの村に来てください。それとも、何か御用でも。」 「いや別に、そんなものは。」 「わたしたちの村は大丈夫ですよ。高野山の区域内ですから、彼らは入って来れません。」 「そうですか。じゃあ、行きます。」 アキラが不安そうな顔で、龍次に尋ねた。 「遠いんですか?」 「そうですねえ、二十分くらいかな。」 「二十分・・」 少女が、ショーケンの肩を軽く叩いた。 「わたし、こっちだから。」指をさした。 「あっ、そうなんだ。」 アキラが,「あんがと!」と言って、少女と右手でハイタッチした。 龍次が、「お父さんに、よろしく!」と言っって挨拶した。 アキラが、「お父さん?」と言い返し、少女の顔を見た。 「自転車屋のおじさん。あれ、わたしのお父さん。」 「なあんだよ。」 「自転車は、今日返さなくてもいいわよ。お父さんに言っとくから。」 「じゃあ、明日返すよ。そう言っといて。」 「うん、分かった。」 ショーケンが「嘘はいけないよ!」と、走り去る少女に向かって言った。 「は〜い!また明日ねえ!」 アキラは、四輪の自転車を興味津々に見ていた。 「この自転車、よくできてるなあ。四人で漕ぐんだ。」 龍次が、自転車に乗り込んだ。 「坂道だけ、電気でアシストしてくれるんですよ。」 「は〜〜、驚いた!」 ショーケンが尋ねた。「これ、作ったんですか?」 「ええ、うちにはいろんな人がいるんですよ。これは、イタリアの元F1レーサー、ロカターニ・トメーロ氏が設計したんですよ。」 アキラは、しげしげと眺めていた。 「ほんとうに、よく出来てるなあ。」 「止まって、充電モードで空漕ぎすると、充電できるんです。ブレーキ充電もできますけど。」 「ふ〜〜ん。なるほどね。後ろはリアカーのタイアだ。へ〜え、ギアもついてらあ。」 「各自の力でギアを選んで漕げます。一人が休んでても大丈夫ですよ。」 「よく作ってあるなあ。驚いた!」 「みんなと一緒に漕ぐと楽しいですよ。乗りますか?」 「乗ります、乗ります!兄貴、乗ろうよ。」 「じゃあ、乗ってみるか。」 龍次が、誰かに向かって叫んだ。 「お〜い、誰か。ショーケンさんとアキラさんの自転車を運んでやってくれ〜!」 2人の若者がやってきた。 とっても笑顔の龍次だった。「どうぞ。」 「兄貴、じゃあ前に乗んなよ。」 ショーケンは、前の左に乗り、アキラは後ろの右に乗った。 「あれ、ここは誰が乗るのかな?」 「僕が乗ります。」と言って、甲賀忍がサドルにまたがった。 龍次は、ハンドルを強く握ると、 「じゃあ、行きましょう!」と、みんなに言った。 電動四輪自転車は動き出した。 アキラが、思わず叫んだ。 「うわ〜〜ぁ、楽しいな、これ!」 四人は、すっかり少年になっていた。爽やかな森の香りの風が吹いていた。
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