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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第11回   電動四輪自転車
「さあ、皆さん。村に帰りましょう。」
公園に集まってる百人近くの者はニート革命軍で、他の者は近くに住んでいる者であった。
ニート革命軍以外の人々はいなくなった。
公園には、荷台のついた四輪の電動自転車が二台、半電動リアカーが五台あった。
「ショーケンさんに、おもてなしをしたいので、是非わたしたちの村に来てください。それとも、何か御用でも。」
「いや別に、そんなものは。」
「わたしたちの村は大丈夫ですよ。高野山の区域内ですから、彼らは入って来れません。」
「そうですか。じゃあ、行きます。」
アキラが不安そうな顔で、龍次に尋ねた。
「遠いんですか?」
「そうですねえ、二十分くらいかな。」
「二十分・・」
少女が、ショーケンの肩を軽く叩いた。
「わたし、こっちだから。」指をさした。
「あっ、そうなんだ。」
アキラが,「あんがと!」と言って、少女と右手でハイタッチした。
龍次が、「お父さんに、よろしく!」と言っって挨拶した。
アキラが、「お父さん?」と言い返し、少女の顔を見た。
「自転車屋のおじさん。あれ、わたしのお父さん。」
「なあんだよ。」
「自転車は、今日返さなくてもいいわよ。お父さんに言っとくから。」
「じゃあ、明日返すよ。そう言っといて。」
「うん、分かった。」
ショーケンが「嘘はいけないよ!」と、走り去る少女に向かって言った。
「は〜い!また明日ねえ!」
アキラは、四輪の自転車を興味津々に見ていた。
「この自転車、よくできてるなあ。四人で漕ぐんだ。」
龍次が、自転車に乗り込んだ。
「坂道だけ、電気でアシストしてくれるんですよ。」
「は〜〜、驚いた!」
ショーケンが尋ねた。「これ、作ったんですか?」
「ええ、うちにはいろんな人がいるんですよ。これは、イタリアの元F1レーサー、ロカターニ・トメーロ氏が設計したんですよ。」
アキラは、しげしげと眺めていた。
「ほんとうに、よく出来てるなあ。」
「止まって、充電モードで空漕ぎすると、充電できるんです。ブレーキ充電もできますけど。」
「ふ〜〜ん。なるほどね。後ろはリアカーのタイアだ。へ〜え、ギアもついてらあ。」
「各自の力でギアを選んで漕げます。一人が休んでても大丈夫ですよ。」
「よく作ってあるなあ。驚いた!」
「みんなと一緒に漕ぐと楽しいですよ。乗りますか?」
「乗ります、乗ります!兄貴、乗ろうよ。」
「じゃあ、乗ってみるか。」
龍次が、誰かに向かって叫んだ。
「お〜い、誰か。ショーケンさんとアキラさんの自転車を運んでやってくれ〜!」
2人の若者がやってきた。
とっても笑顔の龍次だった。「どうぞ。」
「兄貴、じゃあ前に乗んなよ。」
ショーケンは、前の左に乗り、アキラは後ろの右に乗った。
「あれ、ここは誰が乗るのかな?」
「僕が乗ります。」と言って、甲賀忍がサドルにまたがった。
龍次は、ハンドルを強く握ると、
「じゃあ、行きましょう!」と、みんなに言った。
電動四輪自転車は動き出した。
アキラが、思わず叫んだ。
「うわ〜〜ぁ、楽しいな、これ!」
四人は、すっかり少年になっていた。爽やかな森の香りの風が吹いていた。


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