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作品名:ニート革命軍 作者:毬藻

第102回   第六感
「おもしろいねえ。」
上から龍次の声が、ぽたんと落ちてきた。
アキラと紋次郎は見上げた。龍次と鶴丸隼人が立っていた。
「タイヤ直ったよ。」
「さすがアキラさん。どうもありがとう。時間外手当にしておきますよ。」
「なにそれ?」
「残業手当ですよ。」
「ああ、そう。どうも。」
「やってますねえ。アキラさん、やばいんじゃないの?」
「そ〜うなんだよねえ。まいっちゃったよ。」
紋次郎は盤面を見ていた。目だけが全てを透視するように不気味に青く光っていた。
「王手!もう、終わりですよ。」
アキラは、悟った。
「いや〜〜、まいった!」
文字通り、将棋盤に駒を投げた。
「おまえ、強いねえ〜。」
「どういたしましてでござんす。」
「なんだいそりゃあ?変な挨拶。」
上から龍次の声が、ぽたんと落ちてきた。
「よぉ〜〜〜し、わたしがやろう!アキラさんの敵討ちだ!」
紋次郎は龍次を見た。
「敵討ち?せっしゃが敵(かたき)でござるか?」
「人間の敵討ち!」
「人間の論理思考では無理です。感情が入りますから。」
「さ〜〜、どうかな?」
「無理です、無駄です。いくら保土ヶ谷さんでも。」
「人間には、ロボットよりも優れたものがあるんだよ。」
「それは、何ですか?」
「直観力!」
「直観力?」
「第六感ってやつだよ。」
「だいろっかん?」
「人間や動物の直観力はね、へなちょこの理屈よりも凄いんだよ。」
「へなちょこ?わたしのCPUがですか?」
「論理ってやつだよ。」
「保土ヶ谷さんは、とても面白いことをいいますねえ。」
「いざ、勝負!」
アキラは立ち上がった。
「敵討ち頼むよ!」
「まかしといて!」
そこに、龍次が座った。
駒を並べ終えると、龍次は軽く頭を下げた。
「おねがいします。」
紋次郎も頭を下げた。
「おねがいします。」
一人の男の隊員が飛び込んできた。
「先生、大変です!」
「どうした?」
「新宿が暴動で燃えています。」
「暴動で燃えてる?」
「新赤軍でも蜂起したのかね?」
「違います?ガソリン猿人たちがガソリンを求めて暴れているんです。」
「ガソリン猿人たちが?今、テレビでやってるの?」
「はい。」
「誰か、テレビをつけてくれ!」
ニート特攻隊の鶴丸隼人が、作業所の壁に取り付けられてあるテレビを点けた。



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