20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ
 ようこそゲストさん トップページへ ご利用方法 Q&A 操作マニュアル パスワードを忘れた
 ■ 目次へ

作品名:ライオン無気力人生 作者:襲いくる眠気

第1回   無気力人生
今年の夏も例年以上に暑い!!



熱中症に気をつけて!!



男が寝ぼけながら見るテレビには毎年の決まり文句の様なセリフを若い女性のアナウンサーが元気良く口にしている。


男はタバコに火をつけながら缶コーヒーを飲む。


そのままカッターシャツを洗濯物から漁り、グッと引きずり出す。


シワだらけのカッターシャツを着ながら缶コーヒーの残りをぐっと飲み干す。


男「あ〜、ここに帰ってくるのは今日も14時間後ぐらいか・・・。」


若さに似合わない一言をつぶやく男の名前は太郎。


これまた不似合いな名前である。


太郎「学生のときはゆっくり寝れて暑い中遊びにいけたのにな。なんでこんなクソ暑い中仕事なんだよ。」


太郎の独り言が続く。


新社会人として社会に飛び出した太郎は毎朝同じことを呟いている。


やる気のないまま電車に乗り、グダグダと歩きながら出社し、先輩に小さく挨拶をする。


朝の掃除をばれない程度に手を抜きながら終わらせ朝礼の時など窓の外しか眺めていない。


先輩と現場に行く時も適当に話を合わせながら、「あ〜海外行きたい。」などとつまらないことを考えている。


彼はこんな生活を続けている。


楽な方へ楽な方へ。


逃げ道を探し続けている。


もはや自分の考えをごまかす言い訳を考えることすらダルいのである。


先輩「今日は現場にお客さんの上司の方が顔を見せにくるから失礼ない様にな!!
名刺入れ持ったか?」


太郎「持ってまーす。」


自分の名刺が2、3枚しか入っていない名刺入れを先輩の顔の前でパタパタと見せる。


先輩「まあ仕事がダルいのはわかるが新入社員のときだけだ!!仕事の一連の流れがわかって始めてやりがいがわかる!!俺が若いときも〜。」


先輩の聞き飽きた言葉を流し聞きしながら太郎は車のエンジンをかけ、ゆっくりとアクセルを踏んだ。


先輩に意見する勇気はないくせに態度だけは生意気なのである。



もちろん先輩の仕事の手伝いなどせず指示されるまでじっと動かず定時を過ぎるとだらっとした体勢で帰っても良い雰囲気になるまで待つ。


太郎の日々はただ同じことの繰り返しなのである。


そんな太郎につけられたあだ名がナメクジ。


ダラダラと動く姿がそっくりだからだ。




次の回 → ■ 目次

■ 20代から中高年のための小説投稿 & レビューコミュニティ トップページ
アクセス: 265