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作品名:生きる! 作者:かつやまひろし

第6回   第六章 青春時代4
第六章 青春時代4(気になる頭頂部)

頭頂部がなんとかならないか、とにかく考えた。明日からの学校生活を思うと、とにかくなんとかせねば、と思った。
早く半年がすぎればいいのに、タイムマシンでもあって、半年後へ行けたらなー、とも思ってた。半年後へいっても、半年後の僕がいるから2人になってしまう、それはおかしい。もう一人の僕を殺してしまおうか、とまで考えたが、よく考えると半年後にいっても、この頭は一緒であることに気付いた。

そして、ようやく現実に戻り、手鏡を持って洗面所の鏡に頭頂部を写し、ひたすら考えた。なんとかならんかな〜。
そこでひらめいた。
コテで髪の毛をカールし、頭頂部の地肌が分かりにくいようにする。善は急げだ。早速やってみた。
すると、なんとか見えにくくはなったが、明るい所へ行くとどうだか。外でどう見えるかがポイントだった。でも、これ以上やりようがない。仕方なく、今日は寝ることにした。

新しい朝がきた。希望の朝だ。喜びに胸を広げ・・・と、これはラジオ体操が始まる前の歌だった。今の僕には希望の朝ではないのだ。
そんな事より、またいつものように、朝から頭をくりんくりんにしなければならないのであった。今までと違って、頭頂部の地肌を隠すためなのだ。
そして、いよいよ登校。
電車に乗り、友達に、パーマをおとした事を伝えたが、頭頂部の事は言えなかった。むしろ、バレないか心配していた。僕の背後に立たせないように、ひたすら正面を向いていた。
学校側の駅に着き、あとは学校まで自転車だ。
先に走るのはもちろん、友達だ。それが自然になるように、僕はわざと自転車の鍵が開きにくいようにした。
風を切って走る。
う〜ん、今までと違って髪の毛を気にしながら走るのは、非常につらい。今までは髪型が崩れないようには気にしていたのだが、今日からの注意点は
@頭頂部を極力、人に見せない。
A頭頂部のカールした髪の毛が風でめくれないようにする。
B話題が髪の毛にならない様に気をつける。
あと、雨の日はカールした髪の毛がストレートに戻るので、もっと背後に気をつける。
以上の事をふまえ、いざ学校に入る!
緊張する。入学して初めて学校に入るような気持ちと似ている。
教室に入る。でも席に着かない。なぜなら頭頂部が気になるからだ。幸い、今の僕の席は、廊下側の後ろから二番目だ。やや薄暗い上に後ろにいる人も少ない。でも、先に僕が着席すると、立っているやつらから頭頂部を見下ろされてしまう。
チャイムが鳴り、全員が着席したのを確認するぐらいのタイミングで僕も着席した。
誰にもばれていないだろうか?クラスのやつの雑談が、気になる。僕の頭頂部の話しをしてるんじゃないか。
気になって仕方なかった。そして、先生が入ってきて、全員が黙ると安堵感を得た。
そして、50分の授業が終わる度に席を立ち上がり、トイレに行ったり、他のやつの所へ行き、たわいもない話しをして、授業が始まるころ着席する。そんなこんなで最後のホームルームで昨日の服装検査でNGだった僕たちの再検査があった。順番に、教室の前まで呼ばれ、みんなの前で検査されるシステムだ。どうしよう。
みんなの視線が僕の頭にきてしまう。いいようのない緊張感に逃げ出したいと、心から思っていた時、僕の名前が呼ばれた。そして、覚悟を決め、前へ出て行った


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